N.Focus ICD-11移行を機とする病院全体の記録変革:SOAPからF-SOAIPへ 生成AIのハルシネーション防止と次世代DPC・多職種連携への対応




ICD-11移行を機とする病院全体の記録変革:

SOAPからF-SOAIPへ

生成AIのハルシネーション防止と次世代DPC・多職種連携への対応

 


上野 真弓●うえの まゆみ

東京都立墨東病院 副院長・看護部長/認定看護管理者

 

高橋 泰●たかはし たい

国際医療福祉大学大学院 教授


 

AI解析や次世代DPC、ICD-11に対応可能で、多職種連携強化や業務効率化、経営貢献等につながる新たな記録様式として東京都立墨東病院で導入したF-SOAIPを紹介します。

 

はじめに:ICD-11への移行が突きつける記録標準化の急務

高橋 泰

 

地域包括ケアシステムの深化に伴い、医療・介護の現場では、診療行為やケアの内容を職種横断的に共有し、かつ後から検証・分析可能な形で残すことの重要性がいっそう高まっています。医療の質向上や多職種連携の基盤となるのは、診療録・看護記録を中心とした「記録の質」です。

 

筆者は2016年から2020年にかけて内閣府の未来投資会議において、Society5.0の実現に向けたデータ利活用や記録の標準化に取り組んできました。当時から一貫して主張してきたのは、医療記録が「人が読むためのメモ」に止まるのではなく、分析可能で再利用可能な「データ」としての性格を併せ持つ必要があるという点です。

 

現在、医療界は図表1に示すように、1990年以来となるICD(国際疾病分類)の大改訂、すなわち「ICD-11」への移行という大きな転換点を迎えています。ICD-11はデジタルネイティブな設計思想を持ち、複数のコードを組み合わせるポストコーディネーションにより、病態を極めて精緻に記録することが求められます。しかし、現在現場で主流となっている自由記述中心のSOAP形式では、この精緻な情報をデータとして抽出・活用することは困難です。今こそ、病院全体のカルテ記載を、AI解析や次世代DPC、そしてICD-11に完全対応可能な「F-SOAIP(エフソ・アイピー)」へと刷新すべきときです。

 

→続きは本誌で(看護2026年5月号)