訪問看護ステーションの経営戦略(13)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

 

決算書を読める
管理者になろう(1)
総論

渡邉 尚之

 

皆さんは自法人の決算書の数値を把握していますか? 例えば、前年度は黒字でしたか赤字でしたか、また売上高や人件費はいくらだったでしょうか。現預金は前期と比較して増減しましたか、借入金の残高は減りましたか。そしてこれらの数値からわかる自ステーションの経営課題を理解しているでしょうか?

 

筆者の経験では、これらの決算書の数値や経営課題を把握している訪問看護ステーション管理者は多くない印象があります。中には「数字は苦手だから」と、一度もじっくり見たことがないという管理者もいました。

 

しかし、決算書には経営課題や経営改善のヒントが豊富に含まれています。そのため決算書が読めないのは、経営管理の観点からは非常にもったいないことです。これは、経営者と管理者が異なるステーションでも同様です。管理者は訪問看護ステーション運営の中心的存在であり、その問題意識・当事者意識・モチベーションの有無が経営に大きく影響するからです。この視点からも、管理者が決算書を読む(読めるようになる)ことは非常に重要です。

 

最小限の知識で最大限の効果を発揮

 

決算書の作成方法は専門性が高く難解です。そのため、おそらく訪問看護ステーションにおいても実際に作成するのは顧問税理士でしょう。一方、管理者に求められる役割は、経営状況や経営課題を把握するためにこれを「読みこなす」ことです。専門的な会計知識は不要であり、そもそも多忙を極める管理者が限られた時間の中で会計知識を基礎から学ぶのは不効率だといえます。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2019年2月号)