インターナショナル ナーシング レビュー日本版の読者の皆さまへ
このほど、「インターナショナルナーシングレビュー 日本版」は、現在制作中の158号(2012年秋号:10月1日刊行)をもって休刊することとなりました。
本誌は、1977年に東京で開催された第16回ICN大会によって、我が国の看護の国際的な視野が高まったことを機に、国際看護師協会機関誌「International Nursing Reviw」(INR)の日本版として、翌1978年に刊行を開始しました。世界の中でも、英語以外の言語にINRを翻訳する事業に取り組んだのは本誌が最初でした。
我が国の看護職者が、看護の国際的動向やICNおよび他の会員協会に関するニュースに触れ、またICN本部が各会員協会に何を伝えたいかを知ることを目的に誕生した本誌は、その後、翻訳記事だけでなく独自の日本版特集を組むスタイルとなり、国内外の看護の動きを大局的に捉える視点が加えられるようになりました。またここ数年は、看護系大学・大学院の増加に伴い、学術知識としての看護の情報提供を意識してきました。
しかし近年、対象とする読者の情報リテラシーが向上し、インターネットを介した主体的な情報収集に勝る価値を提供することが大変難しくなって参りました。とりわけICNトピックの翻訳を中心としつつ日本版としての独自性を追求していくことにおいて、本誌の枠組みをひとまず一から捉え直すために、この度の休刊という決断に至りました。
これを機に小社では、海外の看護の動向やアカデミックスキル、そして学際的アプローチにご関心を持たれる方々に向け、ただ目に見える「ニーズ」に応えるものではなく、新しい具体的な価値を積極的に提案していくような知識や情報の提供について、改めて考えていきたいと思っています。
本誌を通じて、これまでさまざまな出会いがありました。読者の皆さまのご意見、そして企画のご相談やお原稿のやり取りの過程で、看護と看護学の向上や発展という目的を真摯に共有させていただくことが、雑誌という営みの屋台骨になるのだと常々実感して参りました。
その成果として、今現在もさまざまな方々と、わくわくするような、いくつものアイディアの芽を育てている最中です。引き続きそれらを形にしていくことが、これからの大切な仕事です。「インターナショナル ナーシングレビュー日本版」の刊行は一旦休止となりますが、今後は書籍やセミナー、ネットを介した提供という方法で模索していきたいと思います。
皆さまには大変お世話になりました。長きにわたるご愛顧と多大なるご協力に、重ねて厚く御礼申し上げます。
株式会社日本看護協会出版会 雑誌編集部
「インターナショナル ナーシング レビュー日本版」編集長
村上陽一朗