能登半島の災害から学ぶべきこと(企画協力:酒井明子)

 

第13回

習慣とラマダーンと能登半島

 

アーサー・ビナード

詩人・随筆家

1967 年、米国ミシガン州生まれ。ニューヨークのコルゲー

ト大学で英米文学を学び、卒業と同時に来日。日本語による詩作

と翻訳を始める。2001 年に詩集「釣り上げては」で中原中也賞、

2005 年に「日本語ぽこりぽこり」で講談社エッセイ賞、2007 年に

「ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜」で日本絵本賞を受賞。

 


日本語を学び始めてから30 数年がたった。ア

メリカの英語の中で育った僕にとっては、未知

の言語を習得する過程は、発見の連続だった。

心身ともに影響を受け、価値観と世界観が変わ

り、成長させてもらった。

 

振り返ると日本語そのものも、この30 数年の

間にずいぶん変わった。政府と企業と国際機関

が仕掛けてくる変化によって、劣化した部分も

ある。例えば、TPP だのETC だのPCR だの

USB だのWBC だのSDGs だの、アルファベッ

トの略語が次々とつくられて広まり、一種の思

考停止を招いている。

 

けれど、そんな中、つくり変えられてパワー

アップした日本語もある。

 

 

本質を捉えた呼び名

 

アメリカの大学を卒業して来日した僕は一応

「成人」だったが、「成人病」という単語には興

味がわかなかった。大雑把に病をカテゴライズ

しているだけだし、自分とは関係のない話題の

ように感じた。日本語で詩を書き出し、物語も

書いたりして、出版にかかわる仕事が増えると、

周りには高血圧の先輩、糖尿病の先輩、がんの

先輩も増え、「成人病」をたびたび耳にするよう

になった。そして1996 年、厚生省(現:厚生労

働省)が「生活習慣に着目した疾病対策の基本

的方向性ついて」の意見具申をとりまとめ、「成

人病」という呼び名から「生活習慣病」にあらた

めた。

 

僕は当時、確か朝日新聞の記事でその改称の

ことを知り、「なるほど!」と膝を打った記憶

がある。

 

→続きは本誌で(看護2026年6月号)