SPECIAL INTERVIEW 『看護師でいられて本当に幸せ』ちょっと元気のない看護師さん、読んでみて!

 

中島美津子さん
東京医療保健大学東が丘・立川看護学部/
大学院看護学研究科 教授
看護職の採用と定着を考える会 理事

 

大学病院、赤十字病院、済生会病院など夫の転勤のため複数病院で看護師として勤務。2003年より九州大学医学部保健学科等で教育・研究現場を経験した後、臨床現場へ戻って病院看護部管理職等を経験し、2015年より再び教育・研究の場へ。広島大学大学院医歯薬保健学研究院特任教授を経て現職。九州大学大学院人間環境学府発達・教育システム専攻修士課程修了(教育学修士)、広島大学大学院保健学研究科博士課程後期修了(看護学博士)。

 

●●●

 

本誌『看護』2014〜15年の人気連載だったエッセー「患者半分・看護師はんぶん」が、「プロローグ」と「エピローグ」の新原稿20ページを加えて書籍になりました。筆者である“みっちゃん”こと中島美津子さんに、「看護師モードの入院患者」の思いをつづった書籍のオススメポイントなどを、書籍の編集担当者がうかがいました。

 

 

 

 

 

 

■「看護師が半分入った目線」で入院・手術を振り返ってみると……
――いきなりですが、この似顔絵、よく似ていらっしゃいますね? 本の表紙を開くと、すぐに登場して、その存在感ひときわです。

 

アハハ、そうでしょう〜。北九州の小倉第一病院の看護師さんでイラストレーターでもある松井真理子さんに描いてもらったんです。お気に入りです。ほかに全身パターンのものもありますよ。

 

でも、本当の顔も知りたい方は、本誌96ページの連載「理論に基づき人と組織を育てる方法」でご確認くださいね(笑)。

 

――この似顔絵の元気のよさと本のタイトル『患者になって再確認!看護師でいられて本当に幸せ』がとてもマッチしているように思います。それにしても、直球なタイトルですね。

 

何、言っているんですかぁ〜! タイトルを決めたのは、私でなく編集さん。私は『看護師ってホントに“世界最幸職種”』にしたかったのに〜。

 

でも、“最幸職種”は看護師だけではない、というご指摘はもっともだし、本のエピローグのタイトルにしてくれたのでOKですよ。

 

――あ、そうでしたね(汗)。では、単刀直入に、この本のオススメポイントを教えてください。

 

はい、それでは簡単に内容の紹介からしますね。実は私、2013年7月に突然、首から肩に激痛が走り、頸椎ヘルニアを発症しました。そして、手術をして頸椎に人工物が入った「アンドロイド中島」になったんです。その入院と手術からの体験談をつづったのが本書です。

 

この“患者”という「いきもの」を生きた期間を通して、さまざまな場面から、看護の本質を再考する機会が得られました。それも「普通の患者の目線」ではなく、「看護師が半分入った目線」で学ぶことができたんです。あらためて「看護の素晴らしさ」を感じることができたと強く思いました。

 

そして、「自分だけでその気づきをお蔵入りさせるのは、もったいない! 看護の仲間と共有できたらな〜」っとブログにつづっていたところ、『看護』での連載をしていただき、今回、その連載を「書籍化しましょう」という話が来たというわけです。

 

この本は、小難しいまじめな話は抜きにして、本当に「一患者としての視点」と、入院で見えた「私なりに気がついた看護の新たな視点」を書き留めているだけです。なので、教科書には絶対に載っていない患者の心の声もたくさん書きました。

 

■現場のナース、学生、教員……看護の仲間、みんな“幸せ”になってほしい
――本書では、本文中に色文字で強調したり、囲みでポイントを示したり、工夫されていますよね。

 

本書の特徴として、本文中にオレンジ色になっている部分(読みづらいと不評ですが……)に目を通していただくだけで、「看護の本質」に触れていただけるのではと思っています。

 

また、各Episodeの最後には「ナースの道標」という囲みがありまして、ここも一言でポイントを表すように工夫しました。

 

そして、今回新規に書き下ろした「エピローグ」には、「なぜ看護師は“世界最幸職種”なのか」を私なりに解説しています!

 

――本書を、特に読んでいただきたいのは、どんな方ですか?

 

そりゃあもう、すべての看護師さんに読んでほしいです! と言ったらご質問の答えになっていませんよね〜(笑)。

 

そうですね、まずは自らの「看護」にちょっと行き詰まっている看護師さんでしょうか。現場で頑張ってる看護師ほど、余裕がなくて、ただただ仕事しているだけ。「看護の面白さ」を感じないまま、年取っていくなんてもったいないですよね。看護の大先輩たちは、みんな「看護師って幸せだよね〜」って、よく笑っているけれど、年を取ってからじゃなくて、もっと現役の若〜いときから“幸せ”を感じて、感性豊かに育っていってほしいなあって、毎日思っていました。だから、この本には「看護の面白さ」をいっぱい書いたつもりです。

 

それから看護師をめざす学生さんにも、ぜひ読んでほしいですね。学生さんたちって、実習で「看護って大変だ〜」と思ってつらくなっている人も多いんですが、本を読んで「将来は幸せなんだ〜」と感じてもらいたいですね〜。

 

さらに今、私自身が看護の教員をしているので、「学生に本当の看護を教えられているかな?」とちょっぴり不安な、臨床から離れた教員の方にもオススメです。「看護の醍醐味」にあらためて触れて、“幸せ”を感じていただけたら、私も“最幸”な気分、「幸甚」に存じます(笑)。

 

そうそう、お読みいただいたら、ぜひブログにご感想(コメント)をお寄せくださいね。

 

「中島美津子 ブログ」で検索すると出てきます!

 

 

「患者」になって再確認!
看護師でいられて本当に幸せ

 

中島美津子 著

●B6判 160ページ

●定価(本体1400円+税)

ISBN 978-4-8180-2127-3

発行 日本看護協会出版会

(TEL:0436-23-3271)

 

[内容]

プロローグ 「アンドロイド中島」誕生への道/Ep1 プロの看護師の“美しい仕事”/Ep2 プロは何事も美しい仕事をする[ルート管理編]/Ep3 プロは何事も美しい仕事をする[ゴミと居住空間編]/Ep4 プロは何事も美しい仕事をする[体位変換編]/Ep5 「様子をみましょう」の地獄/Ep6 “痛み”のある患者の検査──教科書がすべてではない/Ep7 「本質的なニードを満たす看護」を考える/Ep8 嘘くさいドラマにも学ぶことはある──オペ前の家族との時間/Ep9 オペ室に運ばれて……──プロの“チーム医療”に感動/Ep10 患者から得られた「情報」を生かせるかどうかは看護師次第/Ep11 気の利いた励ましの文言よりも、つながることで頑張れる!/Ep12 アポトーシスと音楽療法/Ep13 とりあえず、「患者役割」仮の卒業/Ep14 弱気な患者でいいんだ!─「ありのまま」を受け入れる看護/Ep15 すべての経験は「看護」に通ず!/エピローグ 看護師って、ホントに「世界最幸職種」!