本誌の人気連載「看護と人事の協働で実現するWLB」をベースに大幅加筆して再構成した本書。おなじみのやさしい語り口と具体的な資料によって、超実戦型の取り組みをわかりやすく提示します。病院の現役人事担当者が導き出した「人事管理の成功メソッド」は、ナースの“働き方改革”に取り組むすべての方におすすめしたい内容です。
■本当に現場に役立つ情報を
著者である竹中君夫さんは、日本看護協会「地域へのWLB普及推進委員会」の活動をきっかけに、ナースがやりがいをもって働き続けられるための取り組み支援を全国各地で行っています。今や訪問した都道府県看護協会は30を超えるほど。こうした活動の中で出会ったナースの中には、「WLBに取り組み始めてから、現場には不公平感が生まれている」「みんなが働き続けられるようにWLBを支援してきたのに、以前よりひどい状況になった」など、苦しい状況を訴える方もいるとか。
本書では、そうした声に応えるべく、竹中さんが20年以上かけて取り組んできた人事テーマの数々を「キレイごと抜き」でご紹介していきます。実践の舞台となった明和会医療福祉センターは、医療機関で初めて厚生労働省「均等・両立推進企業表彰」のファミリー・フレンドリー企業部門 厚生労働大臣優良賞を受賞(2016年度)しており、お墨付きのメソッドが満載です。
■本音で答えるQ&A
また、ご紹介するメソッドに関連して「これって早出超過勤務に当たるの?」「週休3日制を導入する際のヒントは?」「60歳以降のWLB、参考事例はある?」「夜勤手当引き上げと賞与加算の違いは?」「院内保育所を作れない病院はどうすればいい?」「人事評価制度の公平性を保つには?」「WLBに取り組むとき、まず何から手をつけるべき?」「ハラスメントの訴えへの適切な対応は?」「超過勤務削減と有給休暇取得率アップ、どちらを重視する?」など、これまで竹中さんが実際に受けてきた質問にお答えするQ&Aコーナーも充実しています。
■WLB(work-life balance)とは
そもそもワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)とは、いきいきと働く一方で、子育てや介護、あるいは個人の時間なども大切にできている、仕事と生活のバランスが十分にとれた状況を指します。本書では、「24時間体制かつ女性中心」という難しい課題を抱えるナースのWLBを支えるために必要な人事テーマを数多く取り上げます。また、一般的に想像される多様な勤務形態や休日の保障だけでなく、育成・処遇や経営サイドの課題なども含めた経営戦略として「WLB」という言葉を使っています。
「なんのためのWLBなのか」を考え抜いてきた人事担当者だからこその現実的かつ効果的な手法が、ナースへの深いリスペクトとともに語られており、病院を中心に小規模な医療施設や介護・福祉施設でも活用いただけるヒントが多数ありますので、ぜひ参考になさってください。
ナースが元気になる人事管理
WLB(ワーク・ライフ・バランス)成功メソッド18
[目次]
STEP1:ナースのWLBは「特別」ということを知る
STEP2:「人員計画」でナースの必要人数を見える化する
成功メソッド① 欠員状況を明らかにする
成功メソッド② 人員計画をみんなで共有する
STEP3:WLBで目指す方向を一致させる
成功メソッド③ みんなが納得できるWLBの方針を立てる
成功メソッド④ 夜勤担当が可能なナースの目標人数管理
STEP4:成功の流れを生む2つのステップ
成功メソッド⑤ 労働時間のステップを設ける――週休3日制
成功メソッド⑥ 夜勤回数のステップを設ける――アップ&ダウン
成功メソッド⑦ ステップアップを目指す組織風土を看護部が作る
STEP 5:超実戦型の育児休業・介護休業対策に取り組む
成功メソッド⑧ 教科書には載っていない育児休業・介護休業対策
成功メソッド⑨ もう1つのWLB――60歳以降の働き方を考える
番外編:人事評価制度や処遇システムを検討する
STEP6:人事評価制度や処遇システムよりはるかに大切な
「トップのメッセージ」
成功メソッド⑩ 夜勤負担のかかっている人や
病棟の情報を共有する
成功メソッド⑪ 病院が目指す勤務形態のあり方を数値で示す
成功メソッド⑫ 働きやすさにつながる看護部用勤務統計のススメ
STEP 7:WLBの最終到達点――「育成」の話
成功メソッド⑬ WLB制度利用者を専門職として育成・評価する
成功メソッド⑭ 人事評価制度を機能させる
STEP 8:勤務の多様性・ダイバーシティへの対応
STEP 9:経営戦略としてのWLB
成功メソッド⑮ 人件費をコントロールする
成功メソッド⑯ 人事関連テーマの取り組みをトータルで進める
STEP 10:WLB完成の鍵は看護部にあり
成功メソッド⑰ ストレスチェック集団分析による超過勤務対策
成功メソッド⑱ 育成ラダーの実践的活用方法
「階層評価システム」
竹中君夫 著
●A5判/184ページ
●定価(本体2,000円+税)
ISBN978-4-8180-2125-9
日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)