@wnursing せかいのつぶやき #02「看護師チャット」

text by: Yumi Fukumoto

 

このところ、Twitter上で日本の看護関係者を見かけることが多くなりました。国内だけでなく海外で活躍されている方々の経験談や意見、情報が交換され、フォロアーのタイムラインを大いに賑わせているようです。

 

さて、本場アメリカを始めとした英語圏のツイートを見ていると、ハッシュタグ「#」を使ったチャットに気がつきます。いつもは個々に投稿している人々が、チャットの時間になるとネット上に集い、提起された話題についてツイートし合います。

 

テーマと時間を絞り集中的にツイートし合うことで、知識や情報の共有が促されたり、同じキーワードを含むツイートの数が瞬間的に増え、普段看護とは縁のない人々の関心を引く効果もあるようです。

 

そこで、今回はその看護師チャットに注目してみました。

 

#RNchat


毎週金曜日に60〜90分程度の時間を設けて開催されます。主催者は登録看護師でブロガーのPhil Baumann氏(@PhilBaumann)で、Twitter歴2年4カ月、フォロアー約5,000人、投稿ペースは約17件/日です(チャット用アカウント:@RNchat、フォロアー約1,000人、投稿ペース 約7件/日、ブログ:http://RNchat.org)。

 

時折、Baumann氏以外の人がモデレーターを務めることがあります。終了後はチャット内容がスライド共有サイトに公開されるので、リアルタイムで参加できなかった人も後で読むことができます。(例:2010年8月6日の記録

 

チャット開始時、モデレーターは参加者に自己紹介(地域・専門・名前など)を促して、おおよその発言者を把握します。途中で発言し始めた人に対しては、チャットがスムーズに進むように「自己紹介してくださいね!」と介入します。

 

参加者は学生、現役看護師、大学教授などさまざまで、テーマにより看護師以外の医療関係者が参加することもあります。フォロアー数やリツイート数から、発言者以外にもチャットを見ている人(lurker)はかなりいると思われます。

 

予定時間になり、モデレーターが終了のお知らせツイートをアップすると、参加者たちもそれぞれ挨拶をつぶやいて去って行きます。看護に関わるニュースが報じられた直後は、時事的な話題が取り上げられることもあるようです。

 

以下に、過去に取り上げられたいくつかのトピックをピックアップしてみました。

 

5月14日 「転倒を予防するベストな実践や手順とは?」

 

5月21日 「リビング・ウィルに植え込み型除細動器停止に関する事項を含めるべき?」

 

6月4日 「モチベーションを与えてくれるのはどんな環境?」

 

6月17日 「新人インターンがローテーションに入る7月の”July Effect”に対して、ミスを減らすため看護師ができることはあるか?」

 

6月17日 「蘇生を試みる時に家族、特に子どもが側にいると効果があるというエビデンスが増えているが、あなたはそれに賛成?」

 

6月30日 「人間らしい終末に関して、患者や家族・医療職をどう教育しているか?」

 

7月9日 「メキシコ湾原油流出事故:クルーや住民のために看護師は何ができるか?」

 

7月9日
「デジタル技術の現在と将来:モバイルアプリからソーシャル・メディアまで、看護師は何を使っているか? 十分に使いこなすにはどうすればよいか?」

 

7月23日 「ソーシャル・メディアやデジタル・メディアを利用して、遠隔看護を拡充するためにはどうすればよいか?」

 

7月31日 「個人の健康記録の問題を解決できるメディアは、オープンソース? それともメーカー独自仕様のプラットフォーム?」

 

7月31日 「ヘルスケアにはテクノロジーが集約されているが、人の尊厳を守るのは職人的手腕。あなたの熟練ワザを教えて!」

 

8月6日 「看護における性差別:人々は未だに意識的あるいは無意識に、“看護は女性のもの”という枠にはめているのでは?」

 

その他、これまでに取り上げられた主なキーワードは次のとおりです。「看護教育、製薬会社と看護、女性の保健、患者の安全、キャリア、ケアプラン、看護及びヘルスケアにおけるAR(拡張現実)の意義、小児科での投薬事情、ドメスティック・バイオレンス、看護のニュースソース、コミュニティケアの現状、医療法改正、偽患者、ヘルスケアと看護のITトレンド、テクノロジー、ストライキ、ヘルスケア・マーケティング、感染対策、投薬ミス、メンタリング、サラリー、看護基準、看護技術、グリーフケア、緩和ケア、ウェブ・リテラシー…」

 

その他のヘルスケア関連チャット


#hcsm @HealthSocMed:ヘルスケア・コミュニケーションとソーシャルメディア・コミュニティ

 

#hcsmeu @hcsmeu:#hcsmのヨーロッパ版

 

#IVchat @IVchat:輸液療法と血管確保に関するグローバル・オンライン・チャット

 

#IPchat @CIHC_ca:医療と教育のコラボレーション促進を目指す異業種間(教育関係者、政策立案者、研究者、医療提供者、学生、市民など)のチャット

 

各種医療関係者が参加する#hcsmと#hcsmeuの間には交流があり、この2つのハッシュタグを並べているツイートを多く見かけます。

 

#hcsmeuでは、イギリス・フランスを始め、ギリシャやオランダなど、ヨーロッパ各地の人が参加しているようです。

 

 

148号, p.51, 2010.より。※リンク先は本誌掲載当時)

 


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