日本の医療の諸問題について論じた2016年3月発行の前作『少子超高齢社会の「幸福」と「正義」』に引き続き、国内外の20の問題を倫理的に独自の観点から思索しました。
■編者・浅井篤先生による「まえがき」より抜粋
本書は、医療に関わる国内外の20の問題を、多様な背景を持つ19名の筆者が独自の観点から論じる試みです。テーマを見ていただければその幅の広さや新しさを実感していただけるでしょう。各論考には2人のコメンテータがコンパクトなコメントを書いており、1つのテーマについて3つの見解を知ることができます。通常のテキストでは得難い機会になるのではないでしょうか。
■編者・小西恵美子先生による「あとがき」より抜粋
倫理原則が日本にもたらされたのは1980年前後のことです。当初は、西洋の価値観が日本に根づくのかという議論が盛んでした。しかし、「原則の倫理」は、徐々に日本の医療に浸透し、今は法や指針、病院のルールにも取り入れられ、実践は大きく変わりました。原則の倫理の功績は大きいと思います。
■本書で論じる20のテーマ
- 医療は人間の幸福にどれくらい寄与できるのだろうか-哲学的・倫理的思考の意義
- 医師の倫理教育の現状はどうなっているか
- 健康格差をこれ以上拡げないために今後の日本の医療制度はどうあるべきか
- 出生前診断、特にNIPTは社会にどのような影響を与えるか
- 「医療にかかわる有害事象調査」による医療従事者の権利侵害
- もはや産科で子どもは生まれない? 産科混合病棟の実態
- オプジーボ?など超高額医薬品は使用制限するべきか
- 認知症高齢者の本能に基づくセクシャリティに関する倫理的配慮をどうするか
- 死亡診断の規制緩和、看護師の代行について考える
- 守秘義務と警告義務 どちらが重いのか? 精神障害者が起こす殺傷事件から考える
- 「薬害」といわれている子宮頸がん予防ワクチン接種を推奨するべきか
- 人工知能の臨床への導入によって、医師の役割はどう変わるか
- 患者申出療養は患者にとって幸福な選択なのか
- なぜ日本では代理出産が事実上禁止されているのか
- 病院の方針として「呼吸器は外しません」と定めるのは倫理的に許されるのか
- 抗がん剤治療を続けますか? 人工呼吸器をつけますか? 〜チーム医療において在宅医療における告知は誰の役割か?〜
- 地域包括ケアシステムの社会にあって、住民はどのようなヘルス・リテラシーを身に着ければよいのか
- 看護における情報教育はどうあるべきか コンピュータリテラシーの呪縛からの脱却
- プラシーボの臨床使用について看護の視点から考える
- 超高齢社会において健康寿命を延伸するために何をすべきか
新刊
浅井篤・小西恵美子・大北全俊 編
●A5判 216ページ
●定価(本体2300円+税
ISBN:978-4-8180-2101-3
日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)
前作
『少子超高齢社会の「幸福」と「正義」』
倫理的に考える「医療の論点」
浅井篤・大北全俊 編
●A5判 216ページ
●定価(本体2300円+税
ISBN:978-4-8180-1935-5
日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)
→続きは本誌で(看護2018年3月号)