『看護師長・主任のための成果のみえる病棟目標の立て方』書評

「私のように、悩みながら目標管理に取り組まれている皆様には、ぜひ一読を」

菅原 美知子(東北大学病院看護部長)

 

当院は数年前から目標管理に取り組んできたが、2007年度、大学として人事評価を実践することとなり、BSCを用いた目標管理シートの導入が決まった。BSCに関して熟知しないまま、立場上、職員に説明しなければならず、不慣れな経営用語に四苦八苦した。

 

本書は、管理を実践するために必要なポイントが100のQ&Aとして、見開き2ページで解説されている。また図表が多く、大変読みやすい構成で、それまで“わかりにくいもの”と捉えていたBSCのマトリックスの組み立ての意味や考え方などが、スーッと胸に落ちた。

 

また看護の現場では、「数値で評価可能な目標を立案するよう言うけれど、看護の仕事はそれだけではないでしょう」などといった声をよく聞く。それに対して本書は、「定性目標を小分けにして定量目標にしていくといいですよ」という考え方を提示してくれている。そして次のQ&Aには、病棟の定量目標のつくり方のエクササイズが入っているという按配で、大変親切に出来上がっている。

 

以前実施した看護師長のアンケートに「目標面接での目標立案や指導が難しかった」という意見があった。Q71の「プランニング面接とそのポイントとは?」には、具体的なアドバイスが記載されており、これを読めば悩みは半減するだろうと確信した。

 

私のように、悩みながら目標管理に取り組まれている皆様には、ぜひ一読をお薦めする。

 

 

(月刊「看護」2010年6月号「書評のページ」)

 

 

『看護師長・主任のための成果のみえる病棟目標の立て方』