「50人の親戚たちが暮らす村の生活」

文と写真:坪田トーレナース育子

 

(INR日本版 2012年春号, p.110に掲載)

 

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オランダの古い農家ぐらし。隣近所は賑やかな親戚ばかりで日々退屈している暇もない。

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親戚縁者に配布される「家族雑誌」

オランダの南部にある人口3,000人の小さな村で、夫と2人の息子とともに、古い農家で暮らしています。左隣は義理兄一家、お向かいはいとこ夫婦、その他村内だけで、ざっと50人の夫の親戚に囲まれていて、2年に1回は村外の家族も含めた同窓会が開かれます。それに来られない人のために家族雑誌が発行されたりして、毎日退屈する暇がありません。

 

私が来蘭したのは1997年の3月。EUになる前でオランダの通貨がまだギルダーの時代です。SkypeもE-mailもなく、テレビすら契約した衛星放送しか見られない時代で、当時はずいぶんホームシックにも悩まされました。日本では、看護師・助産師として産婦人科との混合病棟や開業産婦人科で働いていたので、その経験をこちらでも活かそうと思っていましたが、現実はそう甘くはありませんでした。

 

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「人生の転機が訪れる たびに開いてきた、 思い出の “箱”」

文と写真:森 淑江

(INR日本版 2012年春号, p.111掲載)

 

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ザンビアの首都から400㎞離れたカロモ郡のクリニックで活動する公衆衛生の隊員(右端)から話を聞く筆者(左端)。

 

1992年から2年間、中米のホンジュラスで看護教育に関する仕事をしたことをきっかけに、看護分野の国際協力に取り組み始めました。今では国際看護学の分野を確立すべく奮闘しています。

 

群馬大学で国際看護学の教育と研究を行いつつ、日本がODA(政府開発援助)として国際協力を行う際の実施機関、独立行政法人国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局技術顧問(長い!)を務めています。

 

1965年に青年海外協力隊が創設されて以来、86の開発途上国に3万6,000人以上のボランティアが青年海外協力隊員として派遣されてきました。このうち2,438人が看護職(保健師・助産師・看護師)で、保健衛生部門の42%を占めており、2番目に多い養護隊員の558人を圧倒的に引き離す数です。

 

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英語論文のネイティブ・エディターの視点でクリティーク

158号に掲載したクリティーク記事をこちらで1本公開しています。

 

評者は英文校正会社のエディターである、Amanda Hindle氏(プロフィール)。論文執筆・構成に必要なポイントがきれいにまとめられています。

 

たとえば読者が論文を明確に理解できるようにするために必要な言葉の使い方や、図表などの効果的な扱い方、表現の仕方など、実際の論文を実例にしながら、どこにでも通用する普遍的な知識を具体的に得られます。非常に役に立つ内容です。

 

なお、原著とクリティーク原文にもアクセスできるので、英語学習にもお役立てください。

 

 

コラム「海外でくらす、はたらく。」(158号)

 

 

「インターナショナル ナーシング レビュー日本版」の連載コラム「海外でくらす、はたらく。」(最新刊:158号)のWeb版です。国内外で活躍する7人の“異邦人”看護師が、日々の暮らしと仕事について語ります。(バックナンバー:155号157号〈※2013.1.18更新:執筆者のご厚意により、誌面掲載分のコラムも公開いたします。〉

 

 

 

◯「ビバ! じゃがいも!」坪田トーレナース 育子さん

大抵のオランダ人は、1日3回も火を通した食事をする日本の話をすると「信じられない!」という顔をします。「日本の主婦(夫)は台所に住んでいるのか!?」と聞かれることもあるのです… 読む

 

 

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ビバ! じゃがいも!

文と写真:坪田トーレナース 育子

 

 

オランダの病院のお昼ごはん。(クリックで拡大)

「何とかなるさー」が口癖だった私は、どこの国へ行っても何とかやっていけるんじゃないか? と希望的推測を持ってオランダにやって来ました。あれから15年。確かに、いろんな文化の違いを受け入れ毎日を過ごせるようになりましたが、いまだ受け入れきれてないのが、実は食文化なんです。

 

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