地域ケアの今(26)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

散歩の効能

文:上野まり

 

いきなり私事で恐縮ですが、雨の日以外は大学まで徒歩で通勤しています。大学は自宅の最寄り駅の反対側にあり、自宅も大学も丘の上にあるため、坂道を下ったり上ったりするルートです。そのおかげか、平日は1日1万歩ほど歩いています。初めのうちは周囲に「それはよい運動ね! さぞかし痩せるでしょう」と言われていましたが、1年半がたち「どうして痩せないの? タラタラ歩いているんじゃない?」と厳しい指摘を受けています。


感性を磨く時間

今の大学に勤務するまでの約20年間は、バスと電車で片道1、2時間かけて通勤していました。電車に乗り遅れないよう走り、押し合いへし合い状態の車両に揺られ、勤務先に着くだけで疲れ果てていました。

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ステーションの看護を見える化しよう!(8)

看護プロセスや実践知が明示・共有されづらいとされる訪問看護。その業務を“見える化”し、よりよいケアの提供や、管理者・スタッフの仕事の楽しさ向上につなげる方法を、谷口由紀子さんと、山本則子さんを中心とするグループが解説します。

 

事例研究:ワークシートを用いた看護実践の言語化・概念化

山花 令子 ◆村山 陵子 ◆山本 則子

 

 

エキスパートの看護職ほど、自分の実践を“当たり前のこと”“普通のことしかしていない” と感じることが少なくないようです。しかし、実際には専門的な知識・技術・経験を背景にした優れた実践を意識せずに行っていることも多いでしょう。私たちの研究グループ(日本学術振興会科学研究費助成事業、代表:山本則子)は、そのような優れた実践を意識化し、他者と共有したり蓄積したりできる事例研究の方法論の開発に取り組んでいます。優れた実践の可視化は、実践者が自信を持つこと、他者の実践を学び成長すること、自身の経験のない事例に関する示唆を得ることなどに役立つと考えられます。
前号では、看護実践の意識化・言語化(図1)のための対話や問いかけなどを紹介しました。今回は、ワークシートを使った振り返りと、実践内容の概念化(カテゴリー化)の方法を紹介します。

 

ステーションの看護を見える化しよう!(7)

看護プロセスや実践知が明示・共有されづらいとされる訪問看護。その業務を“見える化”し、よりよいケアの提供や、管理者・スタッフの仕事の楽しさ向上につなげる方法を、谷口由紀子さんと、山本則子さんを中心とするグループが解説します。

 

事例研究:看護実践を書き出してキャッチコピーをつくる

池田 真理 ◆山本 則子

 

 

前号では、事例研究は看護実践を可視化するのに最適な方法であると提案しました。本号では、事例研究のファースト・ステップとして、看護実践を記述するための具体的な方法を紹介します。

 

事例研究で取り上げる看護実践の選択

 

事例研究をするに当たっては、まず事例が必要です。あなたはどのような事例を選ぶでしょうか。「何か印象に残っている事例を書いてください」と言われると、多くの看護職はうまくいかなくて後悔が残った事例や、何かやり残したような感情が伴う事例を挙げます。看護職はいつも、患者がもっと満足するケアを提供したい、自分にはそれができただろうかと考える傾向があり、患者のウェルビーイングを高める看護をしたいという熱意の表れから、自らの反省すべき点に意識が向きがちなのかもしれません。

地域ケアの今(25)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

看取り介護加算と看取りの実態

文:鳥海房枝

 

高齢者ケア施設に勤務する職員を対象にした、看取りに関するセミナーが全国で開催されています。私も各種団体主催の「施設での看取り」をテーマとするセミナーの講師を引き受けることがあります。参加者は主に看護師・介護福祉士・生活相談員等の専門職です。参加者からは「看取りに取り組むための準備が大変と聞いている」「書類の準備に1年をかけたと聞いた」「何をどのように準備すればよいのか」「必要書類にはどのようなものがあるのか、様式例を知りたい」といった声を聞きます。これは所属施設が介護保険の「看取り介護加算」の取得を考えているためです。

トシコとヒロミの往復書簡 第24回〈最終回〉

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

川越さんイラスト

川越博美さんから井部俊子さんへの手紙

看護の本質と与えられた課題
文:川越博美


2年にわたる往復書簡の、井部さんからの最後の手紙を読ませていただきました。長い間、後輩の私にお付き合いくださったことに感謝しています。紙面上で個人的なことも共有し、井部さんのご両親や私の母の死のことも語り合えて本当によかった。年老いた親は自分の老いや死をとおして、看護師である私たち娘に、人生の最期を看ることについて無言で教えてくれていたのですね。

 

本当のことを言うと、2年間の手紙の中で、私とは少し考えが違うなと思うこともありました。でも前回の手紙は、1つひとつうなずきながら読みました。病院・在宅とフィールドを異にしても、看護は同じなのだとあらためて思いました。病院での治療中心の看護と在宅での生活中心の看護を、相対するものとして考えがちですが、そこに流れる看護の本質は変わらないのだと教えられました。2年間で一番、心揺さぶられた手紙でした。
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