能登半島の災害から学ぶべきこと(企画協力:酒井明子)

 

第4回

能登半島地震の災害関連死①

 

上田 耕蔵◉1975 年神戸大学医学部卒業後、神戸医療生活協同組合神戸協同病院に就職。1993 年より現職。1995 年の阪神・淡路大震災において災害関連死という概念を提唱した。

 


 

災害関連死は災害ごとに違う様相を見せます。能登半島地震の特徴は、①後期高齢者比率増:福祉施設支援の課題、②地理的問題:自衛隊空白地、③医療職員不足:災害拠点病院の機能低下です。さらにマスコミの災害関連死の捉え方に問題を感じました。概念の見直しも必要と思われます。

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看護と経営(18)

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*vol.1〜6は【解説編】、vol.7以降は【実践編】となります。

 


 

vol.18 実践編⑫

在院日数短縮・入退院支援加算の算定率向上・ 新規患者獲得をめざす

 

鳥海 和輝

とりうみ・かずき◉大学卒業後、社会保障系出版社に勤務。医療保

険専門誌、介護保険専門誌の記者やデスク等を経て現職。現在、

ニュースサイト『Gem Med』にて、医療政策・行政情報を発信し

ている。

 

 

急性期病院の入院が

「要介護度悪化」につながることも

 

前号で、DPC病院では、入院患者を期間Ⅱまでに退院させることが病院経営にとっても、患者のADL・QOLなどの点からも非常に重要であること、さらに期間Ⅱまでの退院に向けて、後方病院や介護施設などとの連携を進める必要があることを確認しました。今回は、このうちの「急性期病院から回復期病院などへの早期転院」に焦点を当てて、その重要性を考えてみます。

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映画と、生きるということ(20)


(No.20)

虚構世界と現実世界

『バービー』

 


岩田 健太郎

神戸大学大学院医学研究科 教授/神戸大学医学部附属病院感染症内科 診療科長
感染症内科医。『ワクチンを学び直す』『抗HIV/エイズ薬の考え方、使い方、そして飲み方ver.3』など著書多数。趣味は、映画や落語の鑑賞、スポーツ観戦など。

 

 

着せ替え人形「バービー」の実写映画

 

2023年のヒット作。超面白かった。未見の方はぜひご覧いただきたい素晴らしい作品だ。バービー(Barbie)は言わずと知れた着せ替え人形である。私も娘に買ったことがあるけれども、本作を観るまではバービーを製造したマテル社のことも、バービーを考案したマテル社のルース・ハンドラーのことも何も知らなかった。しかし、それでも心配はない。本作はバービーや着せ替え人形の知識や思い出が皆無な人も、バービー大好きで遊びまくっていた人も、等しく楽しめる娯楽映画になっている。本作は非常に巧妙につくられた映画で、観客のバックグラウンドによって観方が異なる映画であるにもかかわらず、それぞれ異なる楽しみ方ができる重層構造をしているのだ。そこが作り手の巧みさだと私は思った。海原雄山的なうんちく満載の食マニアも、日本食は初めての外国人も、等しく満足させるような懐石料理と言えば伝わるだろうか……いや、伝わらない(笑)。

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【Book Selection】新刊書籍のご紹介

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医療行政なるほど塾

骨太方針2025を閣議決定
社会保障費の伸びに物価・賃上げ相当分を反映

 

「社会保険旬報」編集部

 

 

政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針2025)を閣議決定しました(図表1)。来年度予算編成における社会保障費については、高齢化による増加分に相当する伸びに加え、「経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と明記。物価・賃金の上昇によって厳しい経営環境に置かれている医療・介護分野に対し、診療報酬や介護報酬で対応する考えを示しています。

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