看護管理者のキャリア開発

 

病院の看護管理者を務めた経験を持つ方々が、その経験を生かしながら、新たなキャリアを展開している姿を紹介します。
第4回は、大学病院で看護部長兼副病院長を担った後、大学教授を務め、地域の看護・介護の質向上に向けて、起業を決意した藤野みつ子さんです。

 


藤野 みつ子
オフィス藤野 代表取締役/
認定看護管理者

 

ふじの みつこ◉2004年より認定看護管理者。2007~2016年滋賀医科大学医学部附属病院看護部長兼副病院長、2011~2016年滋賀医科大学大学院高度専門職コース(看護管理実践)教授兼務。2016~2021年熊本保健科学大学看護学科教授。2021年オフィス藤野を起業し、代表取締役に就任。現在、滋賀医科大学と熊本保健科学大学客員教授。

 


 

第4回

「看護管理者が変われば病院は変わる」
地域の管理者支援のために起業

 

 

起業のきっかけ

 

実母は長年さまざまな医療・介護・福祉施設にお世話になりました。その中で、筆者の理解を超えるような看護管理者のあり方や看護職者の言動に触れる機会がありました。まさに報告にあるような実際があるという認識から「看護師長が変われば病棟が変わる、看護部長が変われば病院が変わる」を信念に、地域の看護管理者の育成に尽力したいという思いを強くしました。

 

看護・介護や病院のコンサルティング、看護管理者教育を行うことで、地方における看護の質の底上げに貢献しようと、2021年、熊本県南部の田舎町でオフィス藤野を起業しました。友人からは「何でそんな田舎で起業するの? 関西でしないの? せめて都市部なら仕事の依頼もあるでしょうに」と言われました。都市部であれば大学や大規模病院などに優秀な人材が豊富にいるでしょう。しかし、地方であればあるほど、そのような人材は希有です。筆者は、そこに認定看護管理者としての役割を見いだしました。

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管理職の働き方とタイムマネジメント

 

「毎日があっという間に過ぎていく」……そんな新米看護管理者のイロハさんが、さまざまな分野のプロフェッショナルから、タイムマネジメントの基本と、現場で使える小さな工夫を学んでいきます。


山本 武史

ポテンシャルビジョン代表

医療機関専門「組織マネジメントコーチ」

 

高松市在住。200床以上の病院看護部を専門に、離職防止をはじめ心理的安全性やワーク・エンゲージメント向上をサポートしている。


 

第8回
管理者ならではの
時間管理の悩み“あるある

 

イラスト:坂木浩子

→続きは本誌で(看護2026年8月号)

わたしの推し本(5)


第 5 回『家康、江戸を建てる』

 

著者:門井 慶喜 価格(文庫本):946円(税込) 発行:祥伝社

 


今月の推し人

 

田中 いずみ

手稲渓仁会病院 副院長・看護部長
認定看護管理者


私は、いわゆる「歴女」です。小学生のころから歴史が好きで、NHK大河ドラマも長く楽しんできました。近年放送された大河ドラマ「どうする家康」では、これまで持っていた徳川家康のイメージが大きく変わりました。家康と言えば、泰然自若と構えている人物という印象を抱いていました。しかし、本作で描かれていたのは、「どうする?」と迷いながらも、家臣や家族とともに悩み、決断を重ねていく一人のリーダーの姿でした。その姿に強く共感し、「どうする家康」ならぬ「どうするいずみ」と、自分自身を重ねてしまいました。そうした背景もあり、今回は家康に関連する『家康、江戸を建てる』を紹介したいと思います。

 

成果はその先の世代に表れる

本書は、武将としての家康の活躍を描いた物語ではなく、湿地と荒野だった江戸の地を、都市として築き上げていく過程が丁寧に描かれています。中でも心に残ったのが、治水をめぐる描写です。そこに描かれているのは、一代で成し遂げられる成果ではありません。父が始め、子が引き継ぎ、孫の代になってようやく形になっていく―親子三代にわたる、気の遠くなるような取り組みです。治水は、すぐに結果が見える仕事ではありません。その成果を実感するのは、多くの場合、自分自身ではなく、次の世代、さらにその先の人々です。それでもなお、未来を思い描きながら手を打ち続けた。その積み重ねがあったからこそ、江戸は幕末には、世界でも類を見ない最大級の人口を擁する都市へと成熟していったのだと思います。

 

歩み続けるリーダーが組織を育てる

この物語が伝えているのは、組織や社会は一人の力では決してつくれない、ということです。家康は細かく指示を出すのではなく、一人ひとりの知恵や専門性を尊重し、適材適所に人を生かしながら、任せて待ちます。そして、失敗やつまずきを幾度となく経験しながらも、すぐに結論を求めず、粘り強く取り組み続けます。

 

私自身、看護部長となって10年以上が経ちました。さまざまな取り組みを進めてきましたが、すべてが思い描いたとおりに成果として表れているわけではありません。一方で、時間をかけて向き合ってきたからこそ、ようやく到達できたと感じるものもあります。その一つが身体拘束への取り組みです。当院では10年以上前から身体拘束の最小化に取り組んできました。試みては立ち止まり、考え直す。その繰り返しの中で、組織としてめざすビジョンや大切にしたい価値を共有し、一人ひとりが自ら考え、行動できる環境を整えることの重要性を実感しています。リーダーは揺らぎながらも、あきらめずに歩み続ける。そのプロセスこそが組織を育てていくのだと、『家康、江戸を建てる』は静かに教えてくれます。

 

たなか・いずみ◉臨床経験を積んだ後、看護管理に携わる。地域と協奏し、変化に柔軟に対応できる組織づくりを重視。自ら考え行動できる管理者と、前向きに挑戦する看護師の育成に取り組む。

 

 

→看護2026年7月号掲載

 

N.Focus 高知県看護管理者支援事業:行政・看護協会・認定看護管理者の連携




高知県看護管理者支援事業:
行政・看護協会・認定看護管理者の連携

 


久保田 富女●くぼた とみじょ

高知県健康政策部医療政策課チーフ/看護師

 

吉永 恵子●よしなが けいこ

高知県看護協会 常任理事/助産師/認定看護管理者


 

本稿では高知県における認定看護管理者教育以外の管理者教育の必要性と、行政・看護協会・認定看護管理者が連携して行っている支援事業の実際を報告する。

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能登半島の災害から学ぶべきこと(企画協力:酒井明子)

 

第13回

習慣とラマダーンと能登半島

 

アーサー・ビナード

詩人・随筆家

1967 年、米国ミシガン州生まれ。ニューヨークのコルゲー

ト大学で英米文学を学び、卒業と同時に来日。日本語による詩作

と翻訳を始める。2001 年に詩集「釣り上げては」で中原中也賞、

2005 年に「日本語ぽこりぽこり」で講談社エッセイ賞、2007 年に

「ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜」で日本絵本賞を受賞。

 


日本語を学び始めてから30 数年がたった。ア

メリカの英語の中で育った僕にとっては、未知

の言語を習得する過程は、発見の連続だった。

心身ともに影響を受け、価値観と世界観が変わ

り、成長させてもらった。

 

振り返ると日本語そのものも、この30 数年の

間にずいぶん変わった。政府と企業と国際機関

が仕掛けてくる変化によって、劣化した部分も

ある。例えば、TPP だのETC だのPCR だの

USB だのWBC だのSDGs だの、アルファベッ

トの略語が次々とつくられて広まり、一種の思

考停止を招いている。

 

けれど、そんな中、つくり変えられてパワー

アップした日本語もある。

 

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