(No.18)
その人を“何もできない人”に
してしまわないように
『長いお別れ』
宇梶 智子
医療法人社団 一心会初富保健病院 看護部長/認定看護管理者
20〜30代のころは、夜勤明けでもミニシアターをめぐって、世界中のバラエティ豊かな映画を楽しんでいた。
そのほかの趣味は、韓国の食・ポップミュージックをはじめ、さまざまな文化を知ること。
ストーリー
物語は東家の4人を中心に展開していきます。校長を務めた厳格な父・昇平(山崎努)と良妻賢母そのものの母・曜子(松原智恵子)は、東京の郊外で暮らしています。
夫婦には2人の娘がいます。カリフォルニアで学者の夫と反抗期の息子・崇と暮らす長女の麻里(竹内結子)、そして実家から自立したものの、仕事も恋愛も続かないことに悩む次女の芙美(蒼井優)です。ある日、昇平の70歳の誕生日を祝うために、曜子から「お父さんの誕生日に帰っていらっしゃい」と招集され、久しぶりに帰省した麻里と芙美。家族4人で食卓を囲んで会話をしていると、娘たちは、昇平が麻里を芙美と間違えたり、自分の誕生日という認識がなかったり、さらには、ささいなことで憤慨して大声を上げるなどの変化を目の当たりに。「まさか……」と動揺しているところ、母親から、父が認知症になったことを告げられます。このシーンを皮切りに、東家の7年間の様子が描かれていきます。
本作は、優しさとユーモアにあふれ、父が記憶をなくしても、これまでとは違った形で、より深い絆で結ばれていく家族の姿に心打たれる物語です。