NT2014年6月号掲載【topics1】紹介

NT1406表紙NT2014年6月号の【topics1】は、

原子力災害による屋内退避区域下での「自主退避指示」

―“患者”か“家族”かという究極の選択

福島第一原発事故の教訓を今後に生かすために

―浜岡原子力発電所周辺施設の看護師等のアンケート結果を踏まえて

 

南相馬市立総合病院(以下、当院)は、福島県浜通りに位置する災害拠点病院です。東日本大震災で、南相馬市は福島県で最も多い1,000人以上の死者・行方不明者を出しています。当院は海岸線より約3km地点に位置し、約23km南方に福島第一原子力発電所があります。震災当時、病床数230床、常勤医師14人、看護師約150人で、南相馬市近隣において最も大規模な総合病院でした。

 

2011年3月11日、当地域では震度6弱の地震と10m以上の津波により多くの被災者が発生し、当院は震災直後約12時間で重症患者20数名を含む、約100人の患者を受け入れました。翌12日に福島第一原子力発電所1号機の水素爆発が起こり、さらに、14日の3号機の水素爆発により、周辺地域の空間放射線量が上昇し、福島第一原発から20km圏内に屋内退避指示が出されました。

 

当院は病院のもつ機能以上の患者を受け入れざるを得ない状況に陥りましたが、通信が遮断したため、近隣の医療機関、行政と情報交換ができませんでした。やがて当院も原発から20〜30km圏内に出された「屋内退避区域」に入ったため、本邦で初めて制限区域での救急医療を経験しました。

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NT2014年6月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

NT1406表紙NT2014年6月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「看護補助者を申し送りに参加させることに消極的なメンバーがいます」

 

事例 ▶ 急性期病棟でも看護補助者が4月から増えました。上司からは「主体的な役割遂行をお願いするためにも申し送りに参加していただきましょう」との方針が出されています。が「看護補助者は無資格なので勝手に動かないでほしい」と申し送りに参加させることにも消極的なメンバーがいてうまくいきません。

 

チームの周囲で起きているパラダイムシフトについて学ぶ

 

ある時代・集団を支配する考え方や規範が変わることをパラダイムシフト(paradigm shift)と言います。平成24年度に厚生労働省が看護職員確保対策特別事業を示したことから、急性期病院における看護補助者活用に対するパラダイムシフトが進んだと考えられます。

 

つまり、それ以前は急性期病院においては「有資格者の配置こそが看護サービスの質向上のためには重要」「無資格者は看護師の指示で補助業務のみを行う」との考え方でした。それが一転して、「有資格者が専門性を発揮するには無資格者でも担える役割を明確に分離し、高度に連携し合うチーム医療の体制が重要」と無資格者も目標を持って主体的に働いてもら うと考え方がシフトしました。図1のようなイメージになります。

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NT2014年6月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

NT1406表紙NT2014年6月号の

【アセスメント力を高める

フットケア】は、

 

「足の筋腱を理解する」

 

足部の筋肉

 

前回は、足の骨について書かせていただきました。足部には、全身の骨の数の約4分の1が集まっています。そのため、それぞれの骨をつなぎ動かす筋腱もたくさんあります。人の筋肉には平滑筋、骨格筋、心筋の3つがありますが、そのうち骨格筋は横紋筋とも言い、唯一自分の意志で動かすことができる随意筋です。骨格筋は、全身で約400個あると言われていますが、足部には両方で26個があり、下腿部とつながっている筋腱も合わせると約50個になります(表1)。

 

足趾を動かす筋腱

 

第1趾を屈曲させる筋肉には、短母趾屈筋と長母趾屈筋があります。短母趾屈筋は、図1にある通り、中足部にある3つの楔状骨と立方骨から始まり(起始)、母趾の基節骨底につながっています(停止)。足底側にある筋肉で、収縮することで足趾が曲がる仕組みになっています。すでにご存じかとは思いますが、筋肉の両端は腱と言われる部分で、その部分が骨に接合しています。そして、筋肉は容易に収縮と弛緩をしますが、腱は筋肉ほどの柔軟性はなく、ほとんど弛緩、収縮をしません。短母趾屈筋とペアになり、第1趾を伸展させる筋肉が、短母趾伸筋です(図1)。短母趾伸筋は、踵骨の背面から始まり、母趾の基節骨骨底で停止している筋腱です。屈筋は足底側にあるのに対し、この伸筋は足背側に位置しています。これらペアになっている筋肉は、第1中足趾節関節(第1MTP関節)の動きを担っています。

 

そして、第1趾を屈曲伸展させる筋肉のうち、長母趾屈筋と長母趾伸筋は、第1趾節間関節(IP関節)の屈曲、伸展の働きを担っています。そして、図2にあるように、足趾を動かす筋であるにもかかわらず、筋の起始は下腿部にあります。長母趾屈筋は、腓骨後面の下3分の1付近で、下腿骨間膜の後面に付着しています。そして、足底側を通り第1趾の末節骨骨底で停止します。また、長母趾屈筋とペアになっている長母趾伸筋は、第1趾のIP関節を伸展させる役割を担っています(図2)。起始は、腓骨および下腿骨間膜の前面で、足背側を通り停止は第1趾の末節骨底の背面となります。つまり、これらの筋腱も、図3に示す下腿部の断面図からもわかるように、屈筋と伸筋はおおよそ反対側にあります。

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ナーシング・トゥデイ6月号特集 誌上コンサルテーションシリーズ⑧ 病棟から在宅につなぐ緩和ケア

NT1406表紙6月号の特集テーマは

「病棟から在宅につなぐ緩和ケア」です。

 

厚生労働省の緩和ケア推進検討会では、患者が退院後も緩和ケアを受けるための地域医療連携体制の構築という課題が現在でも議論されています。緩和ケアは病院だけで行われるものではなく、診療所や訪問看護・介護などのネットワークがあってはじめて実現します。特集では、緩和ケアの対象となる患者が在宅に移行する際にどのようなケアが求められているのか考えます。後半では6つの誌上コンサルテーションを掲載いたします。

 

 

監修:

宮下光令

(東北大学大学院医学系研究科教授/日本緩和医療学会理事)

福井小紀子

(日本赤十字看護大学教授/日本サイコオンコロジー学会理事)

 

退院支援と在宅ケアの現状

佐藤一樹

(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野助教)

宮下光令

 

退院支援における意思決定支援の重要性

福井小紀子

 

 

在宅に移行する際に必要な視点

 

①一般病棟の看護師が行う退院支援

山岸暁美(浜松医科大学医学部看護学科/地域看護専門看護師、社会福祉士)

 

②ケアの継続性、治療の変更や調整

杉田智子(淀川キリスト教病院/緩和ケア認定看護師)

 

③院内(病棟・外来・退院調整部署)との連携理想的なあるべき像

鈴木樹美(東京大学医学部附属病院地域医療連携部)

 

④退院前カンファレンスをどう企画し運用するか

吉原律子(長崎県立大学看護栄養学科/「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」特任准教授/OPTIM長崎拠点 元長崎がん相談支援センター)

 

⑤院外(診療所・訪問看護ステーション・ケアマネジャー)との連携、介護保険
玉井照枝(東北公済病院なんでも相談室)

 

⑥在宅チームで支える緩和ケアの実際
在宅チームが病院看護師に期待すること
佐藤千津代(四国大学看護学部講師)

 

 

困難事例の誌上コンサルテーション

 

1 症状コントロールが難しいケース

山田彩華

(日本赤十字社医療センター/がん看護専門看護師)

 

2  緊急時の対応に不安なケース

服部絵美

(白十字訪問看護ステーション所長)

 

3 家族介護力が低く、地域のインフォーマルサービスを活用し在宅療養移行したケース

林 弥生

(東邦大学医療センター佐倉病院看護相談室)

 

4 治療や療養場所に関する意思決定に支援を要したケース
角川由香

(東邦大学医療センター佐倉病院看護相談室)

 

5 在宅チームの受け入れがスムーズにいかない(在宅側の窓口が不明瞭な)ケース
竹森志穂

(聖路加国際大学大学院博士後期課程/地域看護専門看護師)

 

6 病状が急速に進行し、疼痛やせん妄の症状コントロールが十分にできていない患者が退院を強く希望しているケース
腰原麻衣子

(日本赤十字社医療センター/がん看護専門看護師)

 

NT6月号のその他の内容はこちらから

 

NT2014年4月号連載【看護形態機能学視点のヘルスアセスメント】紹介

NT2014年4月号の連載

【看護形態機能学視点のヘルスアセスメント】のテーマは、

 

〈各日常生活行動を営むための形態と機能〉

お風呂に入る

 

「お風呂に入る」の看護形態機能学視点のヘルスアセスメントでは、従来のフィジカルアセスメントに以下のような視点が加わります。

 

1402ヘルスお風呂

[執筆]大橋 久美子(聖路加看護大学基礎看護学助教)

 

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