スペシャリストの実践知(38)

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

(38)呼吸器疾患

 

独居とうつ病の不安を抱える
COPD患者への支援:安藤 正子

 

 

「みなみ東京訪問看護ステーション」は2011年に開設し、今年で12年目を迎えます。訪問介護事業所、居宅介護支援事業所を併設し、訪問看護では約130名の利用者に月1000時間以上の訪問を実施しています。難病、がん、呼吸器疾患、老衰など、利用者の状態もさまざまです。中でも慢性呼吸器疾患の利用者は数多くの併存症を持っているため、本人・家族と主治医のみならず、その他の専門医やかかりつけ医、病院の看護師、作業療法士、理学療法士、ヘルパー、ケアマネジャー、包括支援センター等と連携をはかり、利用者のよりよい生活の実現をめざしています。

 

本稿では、独居で不安が強く、在宅酸素療法(以下:HOT)や非侵襲的陽圧換気療法(以下:NPPV)の導入と継続に苦慮したCOPDの事例を報告します。

 

うつ病による不安が強い最重症COPDのAさん

 

事例:Aさん/70代女性/COPD(ステージ4)・骨粗しょう症・うつ病・不眠症/要介護3

 

COPDのため HOT(安静時0.5L、労作時2〜3L)を導入し、独居生活。「動くと苦しいので呼吸リハビリをしたい」と依頼があり、訪問看護を開始した。

 

呼吸リハビリテーション

 

●アクションプランによる支援

初回訪問時、Aさんはうつ病の影響もあり、なかなかトレーニングに前向きに取り組めませんでした。そこで、まずは体調がよいときと悪いときのアクションプラン(日常生活の過ごし方)を一緒に作成しました。

 

週1回の訪問時には、看護師が1週間の様子を聞き取り、アクションプランに沿って過ごせていたかをAさんと確認しました。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2024年1月号)