第2回
震災時に看護はどう動いたか
「能登の灯」の会からの報告
中村 真寿美◉金沢医科大学病院病院企画室部長 前副院長兼看護部長
2013年石川県立看護大学大学院看護学研究科博士前期課程修了。2024年10月より現職。認定看護管理者。
澤味 小百合◉公立能登総合病院 副院長兼看護部長
2014年石川県立看護大学大学院看護学研究科博士前期課程修了。2019年4月より現職。認定看護管理者。
中西 容子◉金沢市立病院教育研究開発センターセンター長前看護部長
2011年金沢大学大学院医学系研究科博士前期課程修了。2024年4月より現職。認定看護管理者。
想定外の連続に立ち向かった看護活動
中村真寿美
はじめに
令和6年能登半島地震から1年以上が経過しましたが、能登はようやく復旧・復興が始まったばかりです。この震災は、地域医療体制の脆弱さを浮き彫りにしました。当時、筆者を含め、災害対応に奔走した医療機関の看護部長は、それぞれの知見と経験を生かし、困難に立ち向かいました。しかし、災害は一つの医療機関だけではなく、地域全体の問題です。被災地を含むすべての医療機関の間で情報共有・病床調整・看護職員の人員調整をする仕組みがないために、苦慮する経験が多々ありました。
2024年12月、「看護部長としての被災経験を共有しよう」との声が上がり、能登で支援活動に尽力されている酒井明子氏とともに有志10名(石川県内の医療機関の看護部長・元看護部長)で、「能登の灯」の会を立ち上げました。今回執筆した3名もそのメンバーです。本会では、今回の地震における医療・看護の検証を行い、得られた知見を発信し続けることが災害大国日本における被災地の使命と考えています。
図表1 筆者らの病院の所在地
→続きは本誌で(看護2025年7月号)