看護と経営(16)

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*vol.1〜6は【解説編】、vol.7以降は【実践編】となります。

 


 

vol.16 実践編⑩

看護部・診療部・医事課が連携し「加算の確実な算定」を

 

鳥海 和輝

とりうみ・かずき◉大学卒業後、社会保障系出版社に勤務。医療保

険専門誌、介護保険専門誌の記者やデスク等を経て現職。現在、

ニュースサイト『Gem Med』にて、医療政策・行政情報を発信し

ている。

 

 

病院の「収益増」のために、最も重要な取り組みの一つとして「加算の取得・算定」が挙げられます。出来高病院ではもちろん、DPC病院でも「加算」の取得が極めて重要であるため、今号では、適切な取得・算定方法を考えてみます。

 

加算の正しい理解、施設基準の適切な届出を

 

病院の収益の柱である診療報酬には、多くの「加算」が設けられています。病院には、質の高い医療を実現するためにさまざまな取り組みをしてもらう必要があります。具体的には、「医療安全の確保」「感染対策の充実」「手厚い看護の提供」など、医療の質を高めるべき点は多々あり、病院に相応の努力を促すために、これらを加算として評価しているのです。

 

加算によって収益を上げるためには、①加算の内容を十分に理解する、②適切に届出を行う(加算の取得)、③対象患者で確実に算定する――ことが必要かつ重要です。「当たり前のことではないか」と思われるかもしれませんが、意外にも、こうした点がおろそかになっている病院が大半を占めているのです。

 

例えば、筆者がレセプトのデータやDPCデータなどを分析していると、「●●の取り組みを評価する加算があることを知らなかった」「ちょっとした努力で施設基準を満たし、加算を取得できるのにそのことを知らなかった」「加算を算定できる患者がいるが、請求・算定していなかった」という事例が驚くほど多いのです。確実に加算を算定できれば、年間数千万円の増収が実現できると試算された病院もあります(一概に述べることは困難ですが、規模の大きな病院ほど“増収効果”が見込めると考えられます)。そのため、次のような取り組みを行うことが重要です。

 

→続きは本誌で(看護2025年7月号)