地域ケアの今(59)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

根拠に基づいた感染予防策を

 

文:鳥海房枝

 

この原稿を書いている6月中旬、豪雨による冠水被害などが報じられるようになりました。これらの水害被害を最小限にするために、専門家が避難場所や備蓄品の確認・準備をするよう呼びかけています。今や豪雨・水害に対して、異常気象や想定外の事態と言う人が減り、その代わり新型コロナウイルスの感染を防ぐべく、災害時において「3密(密閉・密集・密接)」を避ける避難所の工夫を紹介する人が増えています。

 

避難所については、これまでプライバシーの確保を中心に議論されてきました。現在はこれに加え、飛沫感染を防ぐために、テントや段ボールベッド、段ボールの間仕切りなどの活用が提案されています。これには一定の効果が見込めるものの、避難所に収容できる人数が大幅に減少するため、新たな避難のあり方、避難所になり得る場所を考える必要があります。例えば、集合住宅の1〜2階に住む人は、一時的な避難場所として上階への垂直避難ができるよう、あらかじめ住民同士のつながりをつくっておくなどです。つまり、行政が設定する避難所だけでは到底足りなくなるため、非常持ち出し物品から避難先まで近隣住民同士で準備しておくべきというのが専門家の指摘です。これは文字どおりの自助・互助の体制づくりと受け止め、集合住宅に居住している私自身も、近隣の人たちとの関係づくりを意識するようになりました。

 

 

 

3密とマスクの効用・効果を

再確認

 

緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルス感染症の治療法の確立やワクチン開発、集団免疫の獲得までにはもう少し時間がかかりそうです。また、感染者の広がりが世界各地に及んでいる状況では、1つの国が自国内の感染が収束したと判断しても、人と物の交流によって流行が再燃するリスクは常にあります。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年8月号)