アンガーマネジメント(14)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

理想の未来を描いて
ワクワクする日々を過ごす

光前 麻由美

 

 

問題解決思考から解決思考へ

 

私たち看護職には、患者・利用者の看護上の問題を明確にして、それを解決するための援助を検討し実践するという“問題解決思考”が染みついています。これは、患者・利用者に安全な看護を提供する上では欠かせません。

 

半面、問題に焦点を当てる考え方は、「何が問題なのか」「原因は何か」といった追求、ひいては「誰が悪いのか」といった犯人探しになりやすい点に注意が必要です。

 

人間関係においては、「何が問題なのか」ではなく「どうしたらよくなるか」と未来に目を向ける“解決思考”で考えるほうがよい場合も多くあります。アンガーマネジメントでも、「どうしたいのか」「どうなりたいのか」と未来に意識を向けて考え、取り組むためのアプローチを大切にしています。

 

そこで今回は、そうした考え方をするためのヒントとトレーニングを紹介します。

 

なりたい自分をイメージするミラクルデイエクササイズ

 

私は学生時代、運動部に所属していました。トレーニングではよくランニングを行いましたが、同じ“走る”という行為でも、トラックを何周または何分間走ったら終了といったようにゴールが明確に示されているときと、顧問やマネジャーが笛を吹くまでひたすら走るときとでは、精神的な疲労が違うと感じていました。

 

ゴールのわからない状態で進むのはつらいものです。そうした中でも頑張れたのは、「あと1周、頑張ろう」「これを乗り切ればもっと体力がつく」「スタミナがつき、次の試合で勝てるかもしれない」という、自分なりの目標や目的を持てたからだと思います。それによって、「頑張ろう」と思い続けることができたのです。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年5月号)