訪問看護ステーションの経営戦略(23)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

役員報酬について考えよう

渡邉 尚之

 

 

訪問看護ステーションの経営者(法人代表者)を含め、多くの経営者が悩むことの1つに役員報酬があります。役員報酬は法人経営における最終損益を大きく左右する非常に重要な項目です。この金額は法人と経営者の税金等の支払いにも影響するため、法人全体の資金繰りの観点からも熟考が必要です。

 

そこで今回は、役員報酬の基本的なルールと適正な金額の考え方について説明します。なお、本稿では論点をシンプルにするため、訪問看護ステーション経営者=法人代表者(1人)=株主(1人)とします。また、中小法人と仮定し、役員報酬は定期同額給与のみとします。

 

 

役員報酬は毎月一定額

 

役員報酬額を考えるのに先立ち、役員報酬における「定期同額給与」1)について説明します。

 

役員報酬を受け取っている経営者であれば承知していると思いますが、役員報酬(支給額)は毎月同額とする必要があります。厳密には毎「期」同額とすることを指し、これを定期同額給与といいます。通常、役員報酬は決算月以降3カ月以内に決定します。一般的なスケジュールでは、3月決算の法人の場合、5月下旬ごろに決算書ができあがり、この結果を踏まえて1年間の役員報酬額を決定し、それに基づき6月(または7月)の役員報酬支給時から定められた金額を支払います。

 

なぜ役員報酬はこのように1年間の報酬額があらかじめ確定されているのでしょうか。例えば、当該役員が訪問看護ステーションの法人代表者かつ看護師である場合などは、自分が訪問を頑張った月はその分を賃金に反映させたいと考え、業績がよければ賞与を受け取りたいと思うのが自然です。しかし、税金の世界ではそれは認められていません。理由は、役員報酬の自由な増減が可能だと、実質的に利益操作ができてしまうからです。

 

少し単純化して説明すると、法人などにおいて、収入から費用を差し引いた利益が大きければ、その分、納付する税金も多くなります。役員報酬は費用に分類されます。つまり、利益が大きく税金の支払い額が増えそうな場合に役員報酬を増額すれば利益は減り、税金を抑えられることになります。しかも役員報酬は経営者の一存で金額を決定できるため、納税額の操作が非常に簡単に行えてしまう可能性があります。例えば「今期は利益がたくさん出そうだから、決算月の役員報酬を増やして利益を減らし、税金を安くしよう」と考え、実行することができてしまいます。これは公平な税負担という観点から適切ではありません。そこで、役員報酬については定期同額給与が導入されているのです。なお、定期同額給与ではない役員への報酬は費用として認められないため、決算上は利益が減らず、結果として納税額が高くなります。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年1月号)


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