SPECIAL INTERVIEW 『病院と地域を“看護”がつなぐ』 「地域」を知りたい看護管理者の皆さんへ

病院・訪問看護ステーション・教育機関など多彩な経験を経て、今、公立病院の看護局長として活躍する角田直枝さん。離職率4%を誇る茨城県立中央病院での看護の1シーンが、軽快な語り口のエッセーと、ププッと笑えるユニークな4コマまんがで展開されます。「特に病院の看護師さんに読んでほしい」と語る角田さんに、本書のおすすめポイントをうかがいました。

 

 

角田 直枝さん
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター看護局長
がん看護専門看護師

 

1987年筑波大学医療技術短期大学部看護学科卒業後、筑波メディカルセンター病院に入職し、病棟勤務。その後、筑波メディカルセンター訪問看護ステーションいしげ管理者を務め、2002年筑波メディカルセンター病院副看護部長に就任。2005年より日本訪問看護振興財団にて認定看護師教育課程訪問看護学科主任教員、2007年には同財団事業部長を務め、2010年より現職。『イラストでわかる 元気になる看護管理』(中央法規出版)など著書多数。

 

 

■なぜ、看護局長が訪問看護の雑誌に連載を?

 

――今回の新刊は月刊「コミニュティケア」で連載されているエッセーを、病院のナースに向けてまとめていただきました。

 

そうなんです。本にまとまりましたが、連載はまだ続いていますよ!2020年1月号で103回目です。初回が2011年7月号だから、あと半年で10年になりますね。この本は、そのうち、主に病院の看護管理者さんが参考にしていただけるテーマの52編を選りすぐったものです。

 

――「コミニュティケア」の読者は角田さんと訪問看護の関係をよく知っていると思うのですが、病院の皆さんにちょっと説明していただけますか?

 

はい、私は略歴にもあるように、今は公立病院の看護局長ですが、その前は財団法人日本訪問看護財団で全国の訪問看護師さんを支援していました。そして、実はその前に、訪問看護ステーションの所長も経験しています。病院と地域の両方の現場を経験したので、今も訪問看護師さん向けの雑誌である「コミニュティケア」に連載をもたせていただいているわけです。

 

ただ、連載の内容は訪問看護のことだけでなく、茨城県立中央病院の話もたくさん出てきますし、看護局長の立場で、病院の看護管理者さんと訪問看護ステーションの所長さんの連携をはじめ、病院と地域をつなぐテーマを意識的に多く書いています。

 

――本書のサブタイトル「ナースだからこそできること」とありますが、これはどういう意図で?

 

本来、ナースは“その人”の暮らしや生活行動を支える専門職ですよね。そして、地域包括ケアが進められている今、最も期待される職種でもあると私は思っています。まだ病院のナースの経験しかなかった私自身、訪問看護に同行して患者さんの“本来の姿”を知りました。「ナースこそ、病院と地域の両方を知らなければならない」と私は思います。それを知ったとき、「ナースだからこそできること」がわかってくる。「病院と地域をつなぐ」ことは、その一環でもあるのです。

 

■病院と地域をつなぐ取り組みが明らかに

 

――では、病院の看護管理者に役立つ具体的な内容の一部を教えていただけますか?

 

そうですね、下の紙面見本にもあるように「病院の看護管理者と訪問看護ステーション所長の相違点」とか、「病院と地域で“会う機会”を増やそう」「退院支援加算の本当の意味」「複数施設が手を組む看護職育成」「救急外来看護師とケアマネの接点」など、私がこの10年で茨城県笠間地区において、病院と地域をつなぐために取り組んできたことや、「看護師確保の極意」「人材不足解消に“ママさんナース”を」「障害者雇用で職場に優しさが」など病院での“楽しい看護管理”について書いています。

 

特に「病院看護師も地域に飛び出せ!」というテーマでは2回に分けて書きました。「ただでさえ病院では看護師が少ないのに……」とちらりと思ったことのある看護管理者さんには気になるテーマではないでしょうか?

 

――ところで、本書で印象的なのは、毎回エッセーと共に掲載されている4コママンガですが、今回は冒頭に6ページの本格的なマンガも描かれていますね。

 

4コママンガのほうは、とにかく楽しくエッセーを読んでいただこうとユニークなものが多くなっていますが、冒頭のマンガは病院ナースが訪問看護に同行したときの感想を、私にワクワクしながら話す内容のものです。このマンガを読んでいただくだけでも「患者さんが地域に帰る」ことの大切さが理解できると思います。それに絵も連載当初に比べてとても上手になりました! ってちょっと偉そうですが、実はマンガの作者は私の娘なんですよ(笑)。

 

――最後に「看護」の読者の皆さんにメッセージをいただけますか?

 

はい、特に月刊「看護」の読者の方には、読んでいただきたい話題が満載だと思います。茨城県立中央病院を見学に来てくださった方々は

「ここは看護師が明るい」「看護がとっても好きそう」「看護師を大切にしている」と感想を述べてくださいます。それは離職率にも現れているのかもしれません。この本では、当院で看護管理者の私が、何をしてきたかもたくさん書いています。きっと参考になると思います。ぜひ、ご一読くださいね!

 


 

COMMUNITY CARE SPECIAL

病院と地域を“看護”がつなぐ
看護師だからこそできること

 

角田直枝 著
●B6判 180ページ
●定価(本体1600円+税)
ISBN 978-4-8180-2213-3
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)

 

 

 

 

 

 

 

 

[内容]

第1章 看護管理者の機能を考える
看護管理者が考えておきたい病院での取り組みを、さまざまな角度から紹介します。

 

第2章 看護師の意欲の育て方
ナースが病院でどのような看護をすれば楽しく、元気が出るか、そのコツを示唆します。

 

第3章 連携の大切さ、覚え書きあれこれ
訪問看護ステーションをはじめ、地域との連携をどうすればよいかなどのほか、さまざまな看護の話題が語られます。

 

 

〈紙面見本〉

4コママンガでは角田局長が大活躍!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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→看護2020年2月号より

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