訪問看護ステーションの経営戦略(21)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

消費税引き上げと訪問看護ステーション経営

渡邉 尚之

 

 

今年10月1日に消費税が8%から10%に引き上げられたことに伴い、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が改定されました。それぞれの改定率は+0.41%・+0.39%・+0.44%です。

 

これまでにも消費税増税時にはこれらの報酬についてプラス改定が行われてきました。消費税と報酬改定の関係は、医療・介護業界において重要なテーマです。そこで今回は、報酬等と消費税の関係について解説します。

 

消費税の仕組み

 

消費税は「消費一般に課税される間接税」です。消費一般とは、国内における商品やサービスの購入時(消費時)のほとんどを対象とし、訪問看護ステーション経営では例えば車両購入や消耗品の仕入れなど、多くの支出時に消費税を支払っています。

 

間接税とは、税金を負担する者(担税者)と実際に税金を納める事業者(納税者)が異なる税金を指します。例えば、小売店が製造業者から1000円の商品を仕入れ、3000円で消費者に販売するとします。消費税が10%の場合、小売店は製造業者に100円、消費者は小売店に300円の消費税を支払います。消費税を負担するのは購入者ですが、納付するのは消費税を受け取る事業者です。ただし原則として事業者は、受け取った消費税から事業者自身が仕入れ等で支払った消費税を差引いた金額を国に納付します(仕入税額控除)。上記の例では、小売店は300-100=200円、製造業者は100円を納付します。つまり、消費者が負担する消費税300円が200円と100円に分かれて小売店・製造業者によって間接的に納付されるということです。

 

ここで重要なのは、消費税の負担者は最終消費者(主に個人)であり、事業者には消費税の納税義務はあるものの、負担義務はないということです。つまり、本来であれば事業者である医療機関や介護事業者には、消費税を負担する義務はないのです。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2019年11月号)