地域ケア・在宅ケアの話題は本誌でも折々に取り上げていますが、姉妹誌「コミュニティケア」(以下:CC)では、毎月、より詳しくお伝えしています。地域包括ケアの時代、本誌の主な読者である病院看護職の皆さまにもぜひ併せてお読みいただきたい雑誌です。今回は4月号の内容を一部ご紹介します。
■第1特集「訪問看護ステーションの後継者の育成」
“忙しい”というイメージが伴う管理職を敬遠する傾向は、病院も訪問看護ステーションも同じようです★。第1特集のテーマは、訪問看護制度の創設から20年以上がたち、管理者の世代交代を迎えているステーションの後継者の育成です。
オフィス萩原の萩原正子さんが、世代交代をスムーズに行うポイントとして挙げるのは、①これまでの管理者像の払拭、②経営の安定化、③働きやすい職場づくり、④移行・教育期間を最低2年間見込むというものです。
聖路加国際病院・聖路加国際大学の滝口美重さんは、後継者を育成するための4つの段階と実際に自身が管理者交代をした経験を述べています。
在宅看護研究センターLLPの村松静子さんは、若手看護師が管理者になりたがらない要因として、①看護師なら誰でもよいと管理者を決めてしまう経営者の考えの甘さ、②若手看護師自身が描く管理者像の不十分さ、③「管理」という言葉を若手看護師と管理者の双方が正しく理解していないこと、④双方の意識が甘いことを挙げています。
そのほか、勝眞久美子さん(ななーる訪問看護ステーション)は管理者の役割と持つべき意識、深澤優子さん(福寿会、プライムワークス、ヘルスケア・マネジメント研究所)は後継者のバックアップについて報告しています。
■第2特集「その症状は薬のせいかも?多剤併用への対応」
第2特集のテーマは、高齢化の進展によりますます懸念される「多剤併用」です。
たかせクリニックの医師・?瀬義昌さんは、多剤併用による問題点として、①薬物有害事象のリスクの増大、②QOLの低下と飲み間違い・飲み忘れの増加、③医療費の増大を挙げています。北海道ファーマライズの薬剤師・佐藤一生さんは、多剤併用により出現しやすい「めまい・ふらつき・転倒」「せん妄」「排尿障害」「運動機能障害」について、原因となる薬剤などを解説しています。そのほか、吉田美由紀さん(聖愛会)が訪問看護師の役割、2人の訪問看護師が実際の取り組みを紹介しています。
■連載「トシコとヒロミの往復書簡」
本連載は、聖路加国際病院で長年管理者を務めてきた井部“トシコ”さんと、訪問看護パリアン看護部長である川越“ヒロミ”さんの往復書簡。毎号、病院看護と訪問看護それぞれの視点からの提言がなされています。
4月号では、前号の「利用している訪問診療や訪問看護のサービス機関等を変えたいという相談がとても多く……」というヒロミの手紙に対し、トシコが「在宅ケアを選択する住民は、それだけサービスの質を意識していて、よいサービスを求めて“行動”するようになってきたと考えられる」との見解を示しています。
さらに、近年の診療報酬改定で退院後の訪問指導について病棟看護師の守備範囲が地域まで拡大してきたことを指摘。「そうすると、訪問看護師の守備範囲は病院(つまり退院前の時期)生活にまで拡大されるのではないでしょうか」と問いかけています。5月号でヒロミはどう答えるのでしょうか?
■新連載「看護職のための文章講座」
人にわかりやすく伝わりやすい文章を書かなければならないのは、病院でも訪問看護ステーションでも施設でも同じではないでしょうか。CCでは、文章の専門家である国立国語研究所・石黒圭さんの連載が4月から始まりました。
第1回では、同じ医療機関や施設の看護職同士の伝達ならば、互いに90%ぐらいの前提知識を共有しているため、残りの10%の内容を伝えれば情報を伝達できますが、50%の共有知識しかない患者や家族に対しては5倍の情報が必要と指摘。
また、専門家同士の共有知識である「専門語」を医療の場で一般の人に使用することの危険性を具体的な例を示しながら丁寧に解説しています。
■連載「角田直枝の病院と地域を“看護”がつなぐ」
訪問看護ステーション管理者の経験を持ち、長年、訪問看護師の教育にも携わってきた茨城県立中央病院看護局長・角田直枝さんの連載です。訪問看護ステーションと、患者のケアに加え、人材育成や研究など、幅広い連携をしている同院の取り組みについて、毎回ユーモアを交えながら紹介しています。
また、この連載のもう1つの目玉は、あざみさんによる4コマ漫画。架空のキャラクター“局長”の、面白く、毒のある活躍が見所。4月号の局長はボス医師をうまく使って仕事のクリアをめざします。
★本誌2017年6月号の特集も「看護管理の“魅力”を伝える」の予定です
「コミュニティケア」 2017年4月号
●A4判変型 80ページ
●定価(本体1400円+税)
ISBN978-4-8180-2004-7
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)
-「看護」2017年5月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –