地域ケアの今⑬

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

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生活習慣を尊重する介護
時代と地域性を反映させる

文:鳥海房枝

 

私は福祉サービスの第三者評価に携わっており、その際に保育園を訪れたときは、園児と同じ献立の食事を一緒にいただいています。3歳児以上のクラスでは、私たち評価者は子どもから見ると祖父母の年齢に近いためか、細々と食事の世話をしてくれます。世話をされるより世話をすることが「好き」な気持ちはよくわかります。また、2歳児のクラスでは、はしを上手に使って食事する子どもと、スプーンで食べる子どもがいて、はしを使っている子どもが誇らしそうに食べている姿が印象的です。食事が終わるとトイレに向かう子どもも多くいます。

 

0歳から年長さん(5、6歳)までを集団でみる保育園では、子どもが生活習慣を身につけていくプロセスがよくわかります。そして入浴がないだけで、子どもの食事・排泄動作を誘導する職員の姿は高齢者ケア施設の職員に共通するものを感じます。

 

介護の世界で“3大ケア”として支援の基本にしているのが、食事・排泄・入浴です。さらに、入所施設では就寝時の更衣支援も、QOLの向上に位置づけて取り組まれています。そしてこれらの支援の際には、高齢者個々の生活習慣を尊重することを重要視しています。

 

今回は、高齢者への介護で極めて当然のように言われている生活習慣についてあらためて考えてみます。3大ケアのそれぞれに「習慣」の文字をつなぐと、食事習慣・排泄習慣・入浴習慣のようになんの違和感もなく意味が通じます。また「文化」の文字も同様につなぐことができます。

 

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医療安全推進週間(11/20~26)に向けて 読んでおきたいオススメ本

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今から十数年前、患者取り違えや薬剤取り違えによる重大な事故が頻発したことにより、国民の医療に対する不信感が増し、医療に対する信頼は失墜しました。

そこで国は、信頼を取り戻すため、医療関係団体等における組織的取り組みを促進することを目的に、11月25日(いい医療に向かってGO)を含む1週間を「医療安全推進週間」と定めました。

 

医療安全は、担当者だけでなく、スタッフ一人ひとりが取り組むことが大切です。今回のオススメ書籍は医療安全関連の本を集めました。ご参考にしてください。

 

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本書メソッドで本年、日本看護管理学会学術集会オーラル賞を受賞!プレゼンの“転倒予防”にこの1冊!

前田 樹海(まえだ・じゅかい)さん
東京有明医療大学看護学部教授
1965年生まれ。東京大学医学部保健学科にて看護を専攻し、看護師、保健師の資格を取得。同大学卒業後、(株)ソニーにて経営管理業務に携わった後、NPO法人在宅ケア協会にて訪問看護を行う。東京大学大学院修士課程、長野県看護大学大学院博士課程修了後、長野県看護大学生活援助学講座准教授等を経て現職。2015年当社より「あなたのスマホ 看護に役立ちます!」を刊行。好評発売中!

臨床ナースから看護研究者まで

研究発表のプレゼン

もっとよくなります!

本書は、全頁フルカラーでお届けします。

スライド画面がクッキリ・ハッキリ鮮明で、前田さんの色使いのテクニックが大いに参考になるはずです!

前田樹海 著

●A5並製 128ページ

●定価(2000円+税)

ISBN:978-4-8180-1990-4

発行:日本看護協会出版会 (TEL:0436-23-3271)

 

 

心を打つスピーチ×伝わるスライド=神プレゼンを持論とする前田樹海先生。有言実行で教え子の古澤圭壱さん(東邦大学医療センター大森病院)との共同研究で栄えある受賞を果たしました。そしてタイミングよく前田さんのオーラル、ポスター、プレゼンのメソッドがごっそり詰まった『研究発表のプレゼン もっとよくなります!』が10月下旬に発売されます。本書執筆のあれこれをうかがいました。
(聞き手:青野昌幸)

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エビデンス & ナラティブアプローチでケアを深める

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小さい子順に並べてみました!

一昔前、「エビデンスに基づいた医療」があちこちで言われ、本や雑誌も多く刊行されたように思います。

 

それから数年後、がちがちのエビデンス主義はどうかという疑問とともに、医療にナラティブの視点を取り入れようという動きが出てきました。最近ではナラティブ研修を行っている病院も増えてきているようです。

 

「EBMもNBMもどちらも大事」というのが、現在の認識ではないでしょうか。そこで今月は、エビデンス・ベースト・ナーシング & ナラティブ・ベースト・ナーシングの関連本をご紹介します。

 

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地域ケアの今⑫

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

“寄り添う”ことの難しさ

文:上野まり

今日、2人に1人はがんに罹患するといわれています。私のまわりにもがん罹患者が増えました。検診の普及により早期に発見・治療され、5年、10年と長期にわたって生活の中に医療を取り込みつつ生きる人も多くなり、「がんは慢性疾患」と認識される時代になったと感じます。しかし先日、1人の友人が急に逝ってしまいました。

妻とのメール

その友人の妻から、ある日突然、「夫ががんに罹患した」とメールがありました。驚いてすぐに病院に行こうとしましたが、後のメールに「彼は誰にも会いたくない、知らせたくないと言っている。看護師のあなたにだけこっそり知らせたの」と書かれていました。

その後も彼女とのメールのやりとりは続きました。お互い仕事をしているため、通勤時間や寝る前にメールを送り合いました。「がん=死」をイメージし、急いで駆けつけたり、電話したりするしか方法がなかった時代に比べ、いつでもどこでも連絡できる便利な時代になったと思います。

彼らはできる限りの治療を施して治したいと考えており、私もその思いに強く共感しました。治療を進める中で、彼の症状の変化にもうだめなのか、まだ大丈夫なのかと一喜一憂する彼女の様子がメールからうかがえました。時には、彼の不機嫌な言動に傷ついたり自分を責めたりと、普段は冷静な彼女らしくないメールも届きました。

仕事と看病と主婦業……大きな負担に潰されそうな彼女に、私はどう返信すればよいか悩むこともありました。メールは便利である半面、一度送信したら修正できず、後にも残ります。彼女から届いた短いメールの意味をどう捉えたらよいのか、この内容のメールを受け取ったら彼女はどう感じるだろうと、看護師だからこそ軽い発言にも重みが加わってしまうようで、返信にはいつも時間がかかってしまいました。 続きを読む…