人事労務相談室❹

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で

生じやすい人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

スタッフがメンタルヘルス不調になった際の対応①

復職・退職までの流れと現状把握

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

メンタルヘルス不調者数の増加

 

精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年、大幅に増加しており、厚生労働省の調査によると2002(平成14)年は約258万人でしたが、2017(平成29)年では400万人を超えています(図1)1)。

筆者は、社会保険労務士として企業の社会保険の給付手続きの代行業務を担っており、メンタルヘルス不調が原因による健康保険の傷病手当金の支給申請数や相談数の多さに、困惑すら感じています。それは、医療・介護事業所も例外ではなく、メンタルヘルス不調者に関する相談は日常になってきました。

メンタルヘルスが不調になると、「遅刻しがち」「欠勤が増えた」「おかしな行動をする」など、業務にさまざまな影響が出てきます。もちろん事業所は貴重な人材を失いたくないでしょう。しかし、期待されるパフォーマンスを出せないとなると、不本意とはいえ事業所は対応を考えなければなりません。かといって、日本の労働法制においては、良くも悪くも解雇規制が厳しく安易な対応は禁物です。職場復帰をめざして復職支援をするのは事業所の責務ですが、人がかかわる問題である以上、いつ、何が原因で労使トラブルに発展するかわかりません。職員はもちろん、事業所を守るためにも、場面ごとに慎重な対応が求められます。

そこで今回から数回にわたって、メンタルヘルス不調者への対応について紹介します。

 

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【Book Selection】今月のテーマ シリーズ【看護の知】

 

 

 

 

 

https://jnapcdc.com/sp/kangonoti/

☝︎シリーズ特設サイト

 

 

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災害に強いステーションづくり❻

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

BCPの策定手順③ 

STEP3 被害の想定

 

寺田 英子

てらだ ひでこ

災害看護専門看護師/認定看護管理者

 

 

今回は、事業継続計画(Business Continuity Planning:BCP)の8つの策定ステップのうち、「STEP3 被害の想定」について解説します。被害の想定では、予想される災害リスクを把握し、自ステーションにおける人的・物的被害を予測するほか、被害状況に応じた対応、つまり事業継続の可否の判断とその後の対応方法を考えます。

 

被害を想定する際の留意点は、「その地域で発生する可能性が高い災害による被害状況を踏まえて、できるだけ具体的に想定する」ことです。その理由は、具体的な被害想定から課題を明らかにし対策を講じることと、災害発生のイメージをスタッフで共有するためです。ただし、災害は想定通りにはならないと考え、厳密さを追及しないことがポイントです。

 

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地域ケアの今(71)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

「公平性」より「効率性」

文:鳥海房枝

 

この拙文が読者の皆さんに届くころ、「コロナ」はどうなっているか、大変気になりながら書いています。現在、マスコミがコロナ関連で大きく取り上げているのは、都道府県別の感染者数の推移とワクチン接種に関することです。

 

パンデミックに見舞われている今、ワクチン接種の対象者は膨大な数であるため、効率的に行うことが求められます。実際の対応を任された自治体(市区町村)は、短い準備期間で経験のないことに取り組むわけですから、進め方に地域差が出るのも仕方ありません。さらに、国は東京都・大阪府で大規模会場での接種に着手しています。

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アンガーマネジメント(25)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

相手の怒りのタイプ別による対応④

「外柔内剛タイプ」の場合

 

 

光前 麻由美●みつまえ まゆみ

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会

アンガーマネジメントコンサルタント

独立行政法人国立病院機構神奈川病院 看護師

 

 

対人援助職であり、かつ「感情労働」を行う看護・介護職は、働く上で常に自分自身の感情をコントロールすることが不可欠です。そのため、相手に合わせた言葉や表情、態度で接することが求められます。本音はどうであれ、その場の状況に合わせて、時に自身の感情を誘発したり抑制したりしながら、相手の尊厳を守り真心のこもったサービスを提供する必要があります。“お客様”である利用者・家族と深くかかわる場面が多く、加えて多職種との連携などさまざまな価値観を持った人と接する場面も多いため、人間関係においてストレスを感じることが少なくないでしょう。

 

とはいえ、感情は人同士がかかわる上で切り離せないものの1つです。人には、喜び・怒り・悲しみなど多様な感情がありますが、その中でも、“怒り”は扱い方を間違うと人間関係を壊してしまいかねません。本連載では、自身の怒りの感情と上手に付き合えるようになることを目的として、さまざまなテクニックを紹介してきました。このアンガーマネジメントができるようになると、他人の怒りに振り回されずに済みます。

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