地域ケアの今(71)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

「公平性」より「効率性」

文:鳥海房枝

 

この拙文が読者の皆さんに届くころ、「コロナ」はどうなっているか、大変気になりながら書いています。現在、マスコミがコロナ関連で大きく取り上げているのは、都道府県別の感染者数の推移とワクチン接種に関することです。

 

パンデミックに見舞われている今、ワクチン接種の対象者は膨大な数であるため、効率的に行うことが求められます。実際の対応を任された自治体(市区町村)は、短い準備期間で経験のないことに取り組むわけですから、進め方に地域差が出るのも仕方ありません。さらに、国は東京都・大阪府で大規模会場での接種に着手しています。

 

これに続いて、他県でも動き始めました。これは、こうすればうまくいくというベストなやり方を行うのではなく、さまざまな方法を重層的に準備し、接種数を増やすことを最重要視した取り組みです。短い期間で試行錯誤しながらも一定の成果が得られれば、地域の事情に応じた対応方法が標準化され、今後のワクチン接種の加速につながるでしょう。

 

先延ばしにしたワクチン接種

 

大都市のように対象人数が多い地域、例えば東京23区のそれぞれの区においても進め方に違いがあります。また、地方に住む友人は、すでに接種を終えた者や、近日中に接種を行う予定の者などさまざまです。対象人数が少ない地域のほうが、ワクチン接種が早く完了するのも当然でしょう。ちなみに23区内に住む75歳以上の筆者にも「新型コロナウイルスワクチン接種券」が数日前(5月中旬)に届きました。そこには区内の集団接種会場名と、「接種実施の医療機関調整中」の文字が記されていました。予約方法は電話かインターネットです。すでにこのころには、インターネットでの予約方法がわからず申し込みができない・予約センター等に電話がつながらないといった状況を、「混乱」としてマスコミが報じていました。確かに電話はつながりにくく、ネットでの予約もスムーズにいきません。

 

続きは本誌で(コミュニティケア2021年8月号)