人生の終焉を迎える人にどう語りかけるか

「人生の終焉を迎える人」(自分で死を意識するようになった時期から亡くなるまでの期間に生きる患者・利用者)にナースはどのような声かけをすればよいのか……
さまざまな現場から報告します。

 

vol.9

1人ひとりの患者さんに真摯に向き合い、
そのとき看護師としてできることを行う

 

 

小川 千夏

群馬大学医学部附属病院

 

コメント
内田 陽子
群馬大学大学院保健学研究科 教授

 

新人看護師の小川さんが1年目を振り返って、かかわり方に悩んだ3つの事例を紹介します。小川さんはそれぞれの事例において、うまくいったこと、うまくいかなかったことを明らかにし、どのような対応がよかったのか、どう声かけすべきだったのかなどについて深く省察しています。

 

救急科の病棟に配属されて

 

群馬大学医学部附属病院は特定機能病院であり、700を超える病床と1700人を超えるスタッフが働く北関東有数の拠点病院です。私は2022年の4月に入職しました。配属先は救急科の患者さんと呼吸器疾患を持つ患者さんが入院されている病棟でした。ベッド数の内訳は救急科の患者さんが約半数を占め、自宅や施設で体調を崩し、誤嚥性肺炎や尿路感染、体動困難などで入院してくる高齢者がほとんどです。そのため、入院時や入院中に本人や家族にDNAR(Do Not Attempt Resuscitation)の確認を行うことが多いです。

 

また、認知機能の低下した患者さんも多く、入院していることがわからなくなってしまう方や病識が乏しく治療を拒否する方、点滴や胃管の自己抜去をしてしまうため身体抑制を行っている方も少なくありません。呼吸器系の患者さんの中には化学療法の副作用に苦しむ方や緩和治療を行う終末期の方もおられます。そのような病棟で1年間看護師として働き、エンドオブライフケアの体験を持つことができました。

 

患者さんやその家族に安心感を
与えられるような看護師になりたい

 

私が看護師をめざしたきっかけは母の病気でした。母は私が中学生のときに肺がんが見つかり、治療のために入退院を繰り返していましたが、私が高校生のときに亡くなりました。

 

母の亡くなる前夜、ベッドサイドで付き添っていると、母は30分おきに咳が止まらなくなり、呼吸が苦しそうでした。そのときの私にはナースコールを押すことしかできませんでした。ナースコールを押すと看護師さんはすぐに来てくれました。看護師さんを見てとても安心したことを今でも鮮明に覚えています。
この経験から患者さんやその家族に安心感を与えられるような看護師になりたいと思ったことが看護の世界に入ったきっかけです。
ここでは私が看護師として働いた1年間を振り返りながら、かかわり方に悩んだ事例を紹介します。

 

 

→続きは本誌で(看護2023年10月号)