生きるということ

「生と死」を
思わざるを得なかった日々

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鳥越俊太郎[ニュースの職人]

 

1940年生まれ。福岡県吉井町(現・うきは市)出身。京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に入社。新潟支局、大阪社会部、東京社会部、「サンデー毎日」編集部に所属し、外信部(テヘラン特派員)を経て1988年4月より「サンデー毎日」編集長。1989年に退職して以降、テレビ朝日系列「ザ・スクープ」「サンデージャングル」でキャスターを務めるなど、テレビメディアに活動の場を移した。現在もさまざまなメディアで「ニュースの職人」として活躍中。著書に『人間力の磨き方』(講談社新書)『食べてよく寝て鍛えなさい』(内外出版社)など多数。

 

先日私の友人が脊柱管狭窄症で手術を受けた。全身麻酔が初めてで、不安だという。そこで私は言ってやった。

 

「麻酔学はものすごく進んでいるんだって。あんまり心配しなくていいんじゃない?」

 

こういう時には自分の体験を話すに限る。

 

私は全身麻酔の手術を10回受けている。

①難聴解消のための内耳の手術

②大腸がん摘出手術

③左肺への転移摘出手術

④右肺への転移同

⑤肝臓への転移同

⑥胃のGIST摘出手術

⑦脊柱管狭窄症手術

⑧同上

⑨同上

⑩同上

 

ちょっと見ただけでも難解そうな手術。

 

この17、8年で全身麻酔の手術を10回、

 

「大変だったろうな」

 

先ず皆そう思うだろう。

 

だけど本人からすればもう慣れたもので、手術の準備から、どこで眠ってしまって、気がついたら点滴処理があるなど手順は全部分かっている。こんなことを言うと辛い思いをした患者経験者に怒られそうだが、私には毎回どこか景色の違う遠足に行く気分だった。

 

そんな私でも厳然たる死の前でたじろいだり、参ったなと呟いたこともあった。

 

 

続きは本誌で(コミュニティケア2023年7月号)(看護2023年7月号)