特別寄稿 心理的安全性のある職場づくり

 

清水 奈穂美

しみず なおみ

 

佛教大学保健医療技術学部看護学科在宅看護学 准教授

訪問看護認定看護師/在宅看護専門看護師

 

筆者略歴

病院勤務を経て、2011年に訪問看護認定看護師資格を取得。その後、淀川キリスト教病院訪問看護ステーションに所属し、訪問看護認定看護師として地域医療に従事。大阪府立大学大学院看護学研究科へ進学し、2017年在宅看護専門看護師資格取得。滋賀医科大学にて学生から現任まで地域で活躍する看護職の育成にかかわる。2022年より現職。

 

 

 

皆さんの職場には、ケアをする中で「自分の判断に自信がない」や「この対応でいいのか悩む」と少しでも思ったときに、誰かに相談できる環境はありますか。また、困難な状況に直面したとき、失敗してしまったときに、ともに考え、ともに振り返り、学び合う仲間はいますか。

近年、チームの成長をもたらし、学びを後押しする職場づくりに「心理的安全性」が注目されています。本稿では、心理的安全性について紹介するとともに、訪問看護に心理的安全性が必要な理由と期待される効果、心理的安全性を高める具体的な方法を考えたいと思います。

 

 

「心理的安全性」とは

 

心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語の和訳で、自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態を指します。また、自然体の自分を安心してさらけ出すことができる環境のことでもあります。

 

これは、ハーバード・ビジネススクールの組織行動学の研究者エイミー・C・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念です。近年では、米国のグーグル社が行った研究(通称:プロジェクト・アリストテレス)において、チームのパフォーマンスを高める要因として心理的安全性が重要であるという結果1)を公表して以来、多くの企業が関心を集めています。

 

 

続きは本誌で(コミュニティケア202211月号)