地域ケアの今(57)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

事業継続の岐路に立つ
介護サービス事業所

 

文:鳥海房枝

 

未知のウイルスが与えた影響

 

本誌4月号では「『新型コロナウイルス』について思う」として、「あんなこともあったな」と言える日を迎えたいという文章で結びました。あの原稿を書いていた2カ月前には、今の状況を想像もしていませんでした。

 

現在、新聞やテレビの報道は新型コロナウイルス感染症に関する話題一色で、収束の見通しも立っていない状況を伝えています。特に各国における新型コロナウイルスの感染状況を示す世界地図が刻々と真っ赤に染まっていく様子には、息をのみます。

 

治療法が見つかっていない感染症は、1つの国に留まらず、瞬く間に全世界に広がっていきました。日本では、東京や京都などから観光客が姿を消しました。世界的に有名な観光地であるパリのシャンゼリゼ通りやローマの古代遺跡に人の姿がない報道を見て、これが本当に現実のことなのかと思うばかりです。また、これまで日本人の文化とまで言われていた「マスク」は、世界の多くの国の人に使用されるようになりました。そして、市民の外出を禁止する国々の対応は、まさに「戒厳令」を想起させます。

 

感染リスクにさらされる医療者

 

記憶に新しい自然災害に東日本大震災があります。リアス式海岸に巨大津波が押し寄せる光景は、日本のみならず海外でも報じられました。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年6月号)