SPECIAL BOOK GUIDE 多様な人材が、活き活きと働き続けられる職場づくりを 『令和元年版 看護白書 看護職の働き方改革』刊行!

看護界の重要度の高いテーマを取り上げ、看護職としていま押さえておくべきことをタイムリーに解説する『看護白書』。「令和」を迎えて初となる看護白書のテーマは「看護職の働き方改革」です。少子高齢化による働き手の減少や企業が抱える働き方の課題等を踏まえ、国民の働き方の抜本的な改革が進むなか、看護職はどう取り組むべきか。看護職の働き方改革の全体像と、現場での先進的な事例を知ることができます。

 

 

■看護界の働き方改革と最新事例を解説

 

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革法)が、2019年4月より順次施行されています。長時間労働の是正等が柱となる法制度への対応は、医療機関にとっても大きな課題です。特に看護職は、夜勤が含まれる変則的な勤務シフトや女性が多数を占める職業であることなど、独自の職場環境に合わせた働き方の見直しが求められています。
日本看護協会が2010年に「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ」を開始、2013年に「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を公表するなど、看護界では時代に先んじて勤務環境の改善に向けた取り組みがされてきました。しかし一方で、夜勤など負担の大きい勤務環境や高い離職率が今も課題となっています。働き方をめぐる価値観の変化を受け止め、子育てや介護との両立支援など、柔軟に働き続けられる体制を整える必要があります。
本書では、看護職の働き方の現状や法制度を解説し、日本看護協会の取り組みを振り返るとともに、働き方改革に先進的に取り組んでいる医療機関や訪問看護ステーションなどの事例を豊富に紹介しています。「今こそ、働き方改革に本気で取り組みたい」と考える方に役立つ内容です。
<1章>は総論として、社会の動きと看護界の取り組み、日本看護協会が進めてきた事業の成果を解説。続く各論では、看護職の働き方改革の4つの柱である「働き方改革法への対応」「ダイバーシティ・マネジメントの推進」「評価と賃金の連動」「ヘルシーワークプレイス」についての詳しい解説や事例を取り上げています。

 

・「働き方改革法」施行への対応
医療機関にかかわる主な法改正事項は図表1のとおりです。<2章>ではこれら法律の主要項目と、看護職として押さえるべきポイントを解説。事例では、勤務間インターバルの推進や確実な休暇の確保、夜勤負担の軽減に向けた病院の取り組みを紹介しています。法制度への対応や、看護職の働き方の見直しを具体的に知ることができます。

 

図表1 医療機関に影響する主な法改正事項の施行時期

(福島通子:「働き方改革法」のポイントと看護現場での対応.
〈公益社団法人日本看護協会編:令和元年版 看護白書, p.31 ,2019.〉)

 

・ダイバーシティ・マネジメントの推進
誰もが働きやすい、働き続けられる職場をつくるため、多様な人材を活用するのが「ダイバーシティ・マネジメント」です。<3章>はダイバーシティ・マネジメントの考え方と日本看護協会での取り組みを解説し、治療と仕事の両立支援やプラチナナース(定年退職前後の看護職)の活用、多様な人材の評価制度のあり方等の事例を紹介しています。

 

・評価と賃金の連動の推進
看護職がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択し、持てる能力を十分に発揮するためには、それらを支える人事評価の仕組みが重要となります。日本看護協会では、複数のキャリアのコースに能力や職務、役割などに応じた等級区分を組み合わせた複線型等級制度「看護職の賃金モデル」を提案しています。<4章>では「看護職の賃金モデル」の解説と病院での実践事例を掲載。看護職の多様な働き方とやりがいを支える評価・賃金制度を考えるヒントが満載です。

 

・ヘルシーワークプレイス実現の取り組みの推進
厚生労働省「平成29年度 過労死等の労災補償状況」によると、看護職は精神障害による労災申請件数が多いことが明らかになっており、暴力・ハラスメントがその要因の一つに挙げられています。こうした状況の改善に向けて、日本看護協会は2018年に『看護職の健康と安全に配慮した労働衛生ガイドライン〜ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を目指して』を公表しました。
<5章>では、看護の現場でのハラスメント対策の内容とともに、実際にどのようなハラスメント事案が起きているのか、現状と課題が明らかにされています。

 

■新たな働き方推進に向けて、本書の活用を!

 

働き方改革法がひとつの契機となり、看護の現場でも「働き方改革」がこれまで以上に進められています。職種や役職の垣根を超え、すべての職員が一丸となった取り組みが求められている今、皆さまの勤務先において、本書をぜひ役立てていただきたいと思います。

 

『令和元年版 看護白書』
看護職の働き方改革 
社会の動きと看護現場での取り組み

 

 

公益社団法人日本看護協会 編
●B5判・280ページ●定価(本体3,300円+税)
ISBN 978-4-8180-2217-1
発行 日本看護協会出版会(TEL:0436-23-3271)

 

【主な内容】
1章 看護職の働き方改革とは
1 看護職の働き方改革とは
2 看護職の働き方改革と看護現場の課題
2章 「働き方改革法」施行への対応
1 「働き方改革法」のポイントと看護現場での対応
2 看護職の夜勤時間短縮に向けた取り組み
3 勤務間インターバルの推進や確実な休暇の確保に向けたマネジメント
4 看護職の「働きがい」を高める夜勤・交代制勤務の見直し
5 ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクトによる働き方改革
3章 ダイバーシティ・マネジメントの推進
1 看護分野におけるダイバーシティ・マネジメントとは
2 多様な背景を持つ人材を活かす看護マネジメント
3 「ポーター制度」によるプラチナナースの活用と育児休業者への支援
4 人事担当者の立場から考える看護職のダイバーシティ・マネジメント
4章 評価と賃金の連動の推進
1 看護職の多様な働き方とやりがいを支える賃金体系とは
2 キャリアパスと目標管理の連動による看護師の人事評価
3 組織の基盤整備としての人事制度の改革
4 人を育てる加点主義/トータル人事制度
5章 ヘルシーワークプレイス実現の取り組みの推進
1 看護職が働き続けられる「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)」の実現を目指す
2 訪問看護ステーションにおける暴力・ハラスメントへの取り組み
3 職員が安心して働き続けるための暴言・暴力・ハラスメント対策
4 介護施設等におけるヘルシーワークプレイスの現状と課題
資料編 看護職の年次データ<就業状況><養成状況><労働条件>/看護政策関連の動向/日本看護協会の主な取り組み

 

 

 

 


→看護2020年3月号より

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