SPECIAL INTERVIEW 『日野原先生から看護をこころざす人に贈る35のメッセージ』刊行!

徳永 惠子さん

宮城大学看護学部名誉教授
日本創傷・オストミー・失禁管理学会名誉会員/
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会特別会員

 

1973年、聖路加看護大学衛生看護学部卒業(保健師・助産師・看護師)。1981年、米国クリーブランドクリニックPB.Tumbull,School of ET終了。(株)日本スクイブ(現ブリストルマイヤーズ スクイブ)コンバテック事業部学術部。1997年、宮城大学看護学部教授、2001年、同大学大学院看護学研究科教授、2015年3月、同大学退職。

 

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本書は、1999年12月、宮城大学看護学部2年生に向けた故日野原重明先生の特別講演に際し、事前に提出された看護学生からの質問1つひとつに対して記された日野原先生の助言が基となっています。本書の編集にあたられた徳永惠子さんに、日野原先生の教え子としての思い出や、本書誕生のエピソード、編集に込めた思いをうかがいました。

 

 

――日野原先生から、学生時代に直接、講義を受けられたのですね。

1973年に聖路加看護大学を卒業するまでの4年間と、先生がつくられたライフ・プランニング・センターで保健師として働いた数年間、日野原先生から多くのことを直接学ぶ機会を得ました。そして、常に医療革新のためにチャレンジされる姿やご著書の中の言葉が、私が海外で学ぶことを選択する動機となり、WOC(皮膚・排泄)看護の専門家となるきっかけになりました。

 

その後1997年から2015年まで、宮城大学看護学部で看護基礎教育に携わる機会を得て、看護基礎教育の重要性にあらためて気づくことができました。

 

――本書誕生の経緯を教えてください。
宮城大学では、2年生の専門科目「治療看護論」を担当していました。この科目のコンセプトは「看護学のサイエンスとアート」を理解することでした。その講義の冒頭で、私に教壇に立つ勇気を与えてくださった日野原先生との出会いや、看護には知識(サイエンス)と技(アート)が不可欠な要素であることなど、先生から学んだことを学生たちに伝えていました。すると講義開始2年目、学生から「日野原先生の講義を聞きたい」との希望があがり、半年後、1999年12月に、日野原先生が講義に来てくださることになりました。

 

学生たちはちょうど最初の臨床実習を終えた直後であり、看護に対する期待や不安を抱えている時期でした。そこで、講演前に、先生にうかがいたいことを全員が記述し、先生にお届けしたのです。

 

講義の当日、日野原先生は限られた時間の中で、「看護学を選択したことは、これからの人生で意味があること」「将来、専門家として活躍するために生涯学び続ける必要のある学問であること」「看護はケアをとおして必ず対象者に感謝され、それ以上に自分が成長する仕事であること」をわかりやすく話してくださいました。そしてすべての学生をワクワクさせた上に、学生からの質問の1つひとつに対して、もれなく助言を書いてくださったのです。この助言が書かれた用紙を、助教の1人がコピーして保存してくれていました。私はそのコピーを退職前に偶然発見したのです。それが本書の基となりました。

 

――どのようなことを伝えたいと思い、編集されましたか。
看護をこころざす学生たちへの日野原先生の助言は、約20年の歳月を経ても変わらない、温かい励ましがあります。助言の内容を「看護とは? ケアとは?」「看護の実践とは?」「私はナースになれるかな?」の3部にわけ、35のメッセージとしてまとめました。左ページに学生の質問、右ページには日野原先生の助言をイラストとともに掲載しました。どのページを開いても、看護職が対象者の幸福のために、多様な専門的役割を担うことができるという日野原先生の考えにふれることができます。

 

今まさに看護学生である方たちには、本書に記された質問の1つひとつ、すなわち専門的な講義と臨床実習に明け暮れる中で感じる将来の看護に対する思いに共感するとともに、看護学を選択したことに対する不安を希望に変える一助になるでしょう。

 

さらに専門家として活躍する看護職の方たちにも、かつて看護学生であったころ、少なからず悩み苦しんだ日々を懐かしく思い出させるとともに、臨床で活躍する中で、看護をとおして人としての成長を実感されることと思います。

 

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
医療の進化とともに、看護職にも、より専門性の高い知識と技術が期待される時代になりました。チーム医療のメンバーとして自分の役割を理解、実践し、チーム医療の一員として任された役割を発揮することが求められています。このような中で私は、1973年に聖路加看護大学の卒業式の式辞として、日野原先生が看護に携わる上で大切な要素の1つに「感性」を挙げられたことを思い出します。また、看護職には医学の進化とともに生涯にわたって新しい知識と技術を学び続ける責務があること、学習し続ける大切さを先生は常に述べられていました。私もそのとおりだと思います。

 

看護の支援を必要とする人々のために、感性を育てましょう。美しいことを美しいと感じられるアートの感覚、おいしいものをおいしいと感じられ、楽しいことを他者と共有できる喜び、人の痛みや悲しみを感じることができる心を大切にしたいものです。

 

日野原先生は天に召されましたが、本書にある先生からのメッセージが、看護をこころざす人を支え、看護職として活躍する人から看護を必要としている患者とその家族へと、これからも優しく、そして力強く還元されていくことを願っています。

 


日野原先生から

看護をこころざす人に贈る

35のメッセージ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

編集 徳永惠子
B6判変形 96ページ
定価(本体1200円+税)
ISBN 978-4-8180-2189-1
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)

 

〈内容〉

1 看護とは? ケアとは?
「看護のケアは、見知らぬ他者への配慮や愛の行為と連なります。愛が広がるように、ケアも人から人へ広がっていきます」(その他、13のメッセージ)

 

2 看護の実践とは?
「患者の身体的のみならず、心理的、社会的面でのタッチこそが、ナースにとって必要なことであり、そこにも科学的根拠が必要です」
(その他、12のメッセージ)

 

3 私はナースになれるかな?
「看護は実践です。教室での学びは案内図のようなものです。患者に触れる機会を持つにつれて、看護が自然にわかってきます」
(その他、7のメッセージ)

 

 

「看護」2019年8月号「SPECIAL INTERVIEW」より

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