訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全
な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会
計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。
モチベーション理論を用いて
スタッフのやる気を引き出そう
渡邉 尚之
前回は、訪問看護ステーションにおける組織づくりについて、経営学における組織論の歴史の視点から考えました。しかし、いくら理想の組織をつくっても、そこで働くスタッフのモチベーションが低ければ経営はうまくいきません。そこで今回は、スタッフのやる気を引き出すモチベーション理論を解説します。
スタッフは不満足を解消しても満足しない!?
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
モチベーション理論にも、組織論と同様、多くの説があります。本稿では、その中から米国の心理学者ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」を紹介します。筆者は、経営実務の上ではこの理論が最も有用だと考えています。
ハーズバーグはこの理論によって、「職務満足の規定要因」を明らかにしました。職務満足の規定要因とは、簡単に言えば仕事に関連する項目のうち、スタッフを満足させる、または不満足にさせる要因は何か、ということです。
彼がこの研究から見いだした結論は、仕事における満足感をもたらす要因(動機づけ要因)と不満足感をもたらす要因(衛生要因)はまったく別物だという、驚くべきものでした。つまり、「スタッフは不満足を取り除けば満足する」という考え方を否定したのです。
→続きは本誌で(コミュニティケア2018年8月号)