スペシャリストの実践知㉑

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

糖尿病

家族介護者の悩みに寄り添い
適切なサービスを提供する

今月のスペシャリスト:関屋 博子

 

 

 

千葉県にある新松戸中央総合病院を母体とする「医療法人財団明理会新松戸ロイヤル訪問看護ステーション」は現在、約80人の利用者がいます。そのうち糖尿病を持つ人の多くは、認知症を併発しています。このため、認知機能の低下により糖尿病療法の自己管理が困難となり、低血糖を起こすとさらに認知症の周辺症状が増強するという悪循環に陥ります。これにより、在宅療養の継続が難しくなることが少なくありません。

 

本稿では、認知症のある糖尿病療養者と家族への支援について報告します。

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【Book Selection】新人看護師とその入職に備える人におすすめ

当社おすすめ書籍を、新刊・既刊・古典織り交ぜてご紹介!!

 

 

 

 

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SPECIAL INTERVIEW 臨床でこそ使いこなしたい 「看護過程」と「看護理論」

阿部幸恵 さん

(あべ・ゆきえ)

 

東京医科大学医学部看護学科/

大学病院シミュレーションセンター 教授

 

防衛医科大学高等看護学院卒業。循環器、救命救急、高齢者施設、保育園で臨床を経験。1997年からの9年間は大学および大学院に在籍し、小学校教員免許、児童学博士号を取得。2006年以降、全医療者・医療系学生対象のシミュレーション教育に携わる。2011年琉球大学医学部附属病院地域医療教育開発講座准教授、2012年同講座教授およびおきなわクリニカルシミュレーションセンター副センター長、2014年東京医科大学病院シミュレーションセンターセンター長を経て、2017年より現職。

 

『臨床実践と看護理論をつなぐ指導』を上梓した阿部幸恵さんに、臨床現場における「実践」と「理論」の関係や、両者をつなぐ意義についてうかがいました。

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災害に強いステーションづくり⓮

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

地域における

BCP連携の必要性①

 

山岸 暁美

やまぎし あけみ

慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 講師

一般社団法人コミュニティヘルス研究機構 機構長・理事長

 

 

今号と次号にわたって、災害対応マニュアルとBCPの違いを解説した上で、地域におけるBCP連携の必要性について述べていただきます。

 

はじめに

 

令和3年度介護報酬改定により義務づけられた業務継続計画(Business Continuity Plan: BCP)策定の猶予期間3年のうち、1年が経ちました。少し焦り始めている読者もいるかもしれません。しかし、BCPは最初から完璧にはできません。また、つくって終わりにしてもいけません。つくったBCPをシミュレーション訓練で評価し、改良を重ねて育てていくこと、このプロセスこそが最も大事なのです。

 

また、自事業所のBCPはもちろん必要ですが、地域を面として捉え、近隣の訪問看護事業所等との連携により、医療・ケアを継続するという視点も非常に重要です。今回、BCPとは何かという説明に加え、このことについて詳しく解説します。

 

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特別寄稿 ステーション誕生から30年 訪問看護制度創設期の現場での奮闘

 

川越 博美

(かわごえ ひろみ)

特定非営利活動法人

在宅ホスピスボランティアきぼう 代表

元白十字老人訪問看護ステーション 所長

 

聖路加看護大学卒業。ライフケアシステムでの訪問看護などを経て、1992年老人訪問看護制度創設と同時に、白十字老人訪問看護ステーション所長。1997年聖路加看護大学地域看護学教授、2004年聖路加看護大学看護実践開発研究センター教授。その後、訪問看護バリアン看護部長、すみだ在宅ホスピス緩和ケア連絡会あこも代表を経て、現職。

 

老人保健法の改正により、1992年に老人訪問看護ステーションでの訪問看護が行われるようになりました。当時は、現場で必要性があっても、制度上、実施できないことがあるなど、制度とニーズが大きく乖離していました。その状況を変えるべく奮闘してきた創設期の訪問看護師たち。その1人である、川越博美さんに30年を振り返り、次世代を担う訪問看護師にメッセージをいただきます。

 

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