ナーシング・トゥデイ8月号特集 誌上コンサルテーションシリーズ⑨ 疾患別「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア 

1408hyoshiOL8月号の特集テーマは

「疾患別「つらくない」「痛くない」

褥瘡ケア」です。

 

2013年8月号の特集では“「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア”をテーマとして、これまであまり意識されてこなかった「疼痛緩和に配慮した褥瘡ケア」の基本を取り上げました。本特集では、がん、脳卒中など患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた「つらさ」と「痛み」に配慮した褥瘡ケアを考えます。また、後半では困難事例を取り上げ、コンサルテーションを行います。

 

監修:祖父江正代

(JA愛知厚生連江南厚生病院/がん看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

患者が抱える「つらさ」「痛み」のアセスメントの視点

祖父江正代

 

患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケアの実践

 

がん患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

祖父江正代

 

脳卒中患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

小林陽子(東京都健康長寿医療センター/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

心不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

志村知子(日本医科大学付属病院/急性・重症患者看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性腎不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

丹波光子(杏林大学医学部付属病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

脊髄損傷患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

木下幸子(金沢医科大学看護学部講師/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性関節リウマチ患者が抱える

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

近藤貴代(JA愛知厚生連知多厚生病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

認知症患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア
小林陽子

 

 

困難事例の誌上コンサルテーション

 

1 身体の痛みの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

祖父江正代

 

2 息苦しさによるつらさの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

志村知子

 

3 循環動態の安定のための安静と褥瘡ケアとの間で

ジレンマを感じるケース
志村知子

 

4 離床・自立と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース
木下幸子

 

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NT2014年8月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

1408hyoshiOLNT2014年8月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「チーム内で毎回のように新人からの

〝臨機応変な報告がない〟という
不満があがっています」

 

おそらく「臨機応変な報告」は「できる」の認識には微妙な相違があると思います。また、報告は仕事の力量が上がるスピードと比例するように経験を通して徐々に上達します。最も重要なことは報告・連絡・相談のスキルの育つプロセスについてチーム内の認識を一致させることではないでしょうか。

 

報告・連絡・相談のスキルは経験を通して学びとる

 

新人からよく「どんな小さなことでも報告をするようにと言われたので報告をすると『そんなどうでもいいことを多忙な今、報告しなくてもいい』と叱られた。そこで、忙しそうなので報告を控えていたら『報告をしない』と叱られ、頭がゴチャゴチャになりました」という悩みをよく聞きます。

 

一方で新人の時を振り返り、「私のプリセプターはどのような報告も受け止めてくださいました。ただ、私の報告を受ける様子があまり真剣ではない、受けた後の先輩が特別その情報を気に留めていないことから『今の報告はあまり重要ではなかったのかも』と気づくことがありました」と少しずつ報告をするスキルを身につけた様子を伝えてくれる先輩もいました。教えることは一時ですが、経験から本人が学びとるには数年かかります。

 

報告のラダーで成長段階を共有する

 

表1は、筆者が独自に作成して使用している報告・連絡・相談スキルのラダーです。

 

私たちは「相手にリクエストされた通りに報告する」から「仕事の状態を見て必要な情報を報告する」になり「チーム全体のことを思って自発的に報告をする」ことができることを一人前に育つと考えます。さらに上級者は「チームの人間関係までも考えて報告のタイミング、ルートや方法まで検討する」、熟達者は「世の中やチームの変化を察し、直感でチームや上司に必要な報告をしている」と言えるでしょう。まずはこの報告・連絡・相談のスキルの成長段階をチーム全体で共有することが必要です。(続く)

 

[著者]永井 則子(有限会社ビジネスブレーン代表取締役)

 

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NT2014年8月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

1408hyoshiOLNT2014年8月号の

【アセスメント力を高める

フットケア】は、

 

「足の脈管を理解する」

 

脈管という言葉はあまり聞きなれない方もいるかもしれません。脈管とは、動脈、静脈、リンパ管の総称です。脈管は、足の外見だけでは判断できない部分もありますが、逆に、知ることで一歩進んだ理解につながることもたくさんあります。今回は、そうした内容をお伝えいたします。

 

脈管とは

 

脈管は、その字の通り管状になっていて、中を血液やリンパ液が流れ、それが全身に張り巡らされています。そのため、脈管疾患が起こると、ごく一部の局所が損傷されるだけでなく、広範囲もしくは全身性の疾患、または生命維持に直結する疾患と関連性が高くなります。つまり、中を流れている血液やリンパ液が、脈管そのものの病変により流れが滞ることで、その部分のみならず、その中枢側や末端側の細胞レベルにまで影響が出てしまうのです。

 

足の動脈

 

動脈は、一般的に図1のような構造をしています。人工透析を受けていると、動脈の中膜が石灰化しやすく、血管の柔軟性が失われますが、それが足への血流障害に結びついています。また、末梢動脈という視点から鑑みると、冠動脈や脳血管にも同様に影響を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を合併することも少なくありません。

 

足の切断に結びつく疾患と言えば糖尿病があります。日本で人工透析を受けている患者のうち、過半数は糖尿病腎症によるものです。毛細血管には中膜がほとんど存在しないため、石灰化が起こりにくいのですが、透析を導入するきっかけが糖尿病であったりすると、毛細血管の基底膜が肥厚する微小血管障害が起こり、高中性脂肪血症や血小板の粘度亢進などもあいまって、末梢の血流が悪くなり、ますます壊疽に陥りやすい状態になります。

 

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NT2014年6月号掲載【topics1】紹介

NT1406表紙NT2014年6月号の【topics1】は、

原子力災害による屋内退避区域下での「自主退避指示」

―“患者”か“家族”かという究極の選択

福島第一原発事故の教訓を今後に生かすために

―浜岡原子力発電所周辺施設の看護師等のアンケート結果を踏まえて

 

南相馬市立総合病院(以下、当院)は、福島県浜通りに位置する災害拠点病院です。東日本大震災で、南相馬市は福島県で最も多い1,000人以上の死者・行方不明者を出しています。当院は海岸線より約3km地点に位置し、約23km南方に福島第一原子力発電所があります。震災当時、病床数230床、常勤医師14人、看護師約150人で、南相馬市近隣において最も大規模な総合病院でした。

 

2011年3月11日、当地域では震度6弱の地震と10m以上の津波により多くの被災者が発生し、当院は震災直後約12時間で重症患者20数名を含む、約100人の患者を受け入れました。翌12日に福島第一原子力発電所1号機の水素爆発が起こり、さらに、14日の3号機の水素爆発により、周辺地域の空間放射線量が上昇し、福島第一原発から20km圏内に屋内退避指示が出されました。

 

当院は病院のもつ機能以上の患者を受け入れざるを得ない状況に陥りましたが、通信が遮断したため、近隣の医療機関、行政と情報交換ができませんでした。やがて当院も原発から20〜30km圏内に出された「屋内退避区域」に入ったため、本邦で初めて制限区域での救急医療を経験しました。

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NT2014年6月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

NT1406表紙NT2014年6月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「看護補助者を申し送りに参加させることに消極的なメンバーがいます」

 

事例 ▶ 急性期病棟でも看護補助者が4月から増えました。上司からは「主体的な役割遂行をお願いするためにも申し送りに参加していただきましょう」との方針が出されています。が「看護補助者は無資格なので勝手に動かないでほしい」と申し送りに参加させることにも消極的なメンバーがいてうまくいきません。

 

チームの周囲で起きているパラダイムシフトについて学ぶ

 

ある時代・集団を支配する考え方や規範が変わることをパラダイムシフト(paradigm shift)と言います。平成24年度に厚生労働省が看護職員確保対策特別事業を示したことから、急性期病院における看護補助者活用に対するパラダイムシフトが進んだと考えられます。

 

つまり、それ以前は急性期病院においては「有資格者の配置こそが看護サービスの質向上のためには重要」「無資格者は看護師の指示で補助業務のみを行う」との考え方でした。それが一転して、「有資格者が専門性を発揮するには無資格者でも担える役割を明確に分離し、高度に連携し合うチーム医療の体制が重要」と無資格者も目標を持って主体的に働いてもら うと考え方がシフトしました。図1のようなイメージになります。

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