コミュニティケア春号 特集1 概論

フィジカルアセスメントの技術を生活支援へとつなげるためには、身体所見のみならず心理・社会面を含めた統合的理解が求められます。本稿では、日常生活行動の枠組みから対象者を捉えるヘルスアセスメントの視点について考察します。

 

大久保 暢子 おおくぼ のぶこ

聖路加国際大学大学院 看護学研究科 教授

 


 

訪問看護と

ヘルスアセスメント

 

変化する看護基礎教育内容と

療養の場の変遷

 

2022年より看護基礎教育カリキュラムが改正され、総単位数は97単位から102単位へと増加しました。改正の主な焦点は、地域包括ケアシステムに対応した「地域・在宅看護論」への再編と内容の拡充、情報通信技術(ICT)を活用するための基礎能力およびコミュニケーション能力の強化、さらに臨床判断能力の基盤となる解剖生理学等の充実です。とりわけ解剖生理学については、看護実践と関連づけて学習することが重視され、演習の充実をはかるために1単位増となりました。この改正を契機として、筆者の下には全国の看護専門学校および看護師養成所から多くの相談が寄せられ、看護教員を対象とした指導セミナーやカリキュラム相談会を開催するに至りました。

 

聖路加国際大学では従来より、循環器系や泌尿器系といった系統別の学習ではなく、人が日々生活するために必要な行動という視点から身体の構造と機能を理解する「日常生活行動の枠組み」に基づく形態機能学を教授し、アセスメントと看護計画の立案へとつなげてきました2-4)。こうした経験を踏まえ、全国の看護教員とともに、増加した1単位を解剖生理学の効果的な学習にむすび付ける方法と、アセスメントに連動する思考過程および教授法の検討を重ねてきました。

 

身体・心理・社会的側面を

統合したアセスメント

 

一方、社会では人口構造の変化に伴い、「住み慣れた地域で最期まで暮らす」ことをめざした地域包括ケアシステムの構築が進められ、医療の場は病院から地域・在宅へと移行し、生活背景を重視した在宅医療・介護の現場へと看護の役割も広がっています。そのような状況の中で、在院日数の短縮や在宅療養の推進に伴い、病状が安定しない亜急性期の療養者や、複数の疾患を抱えながら生活する慢性期療養者を訪問看護師が支える状況が増えています。したがって訪問看護師には、対象者に対するフィジカルアセスメントを強化し、異常の早期発見と状態把握を行いながら、その人らしい生活を支えることがこれまで以上に求められています。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2026年春号)