宮子あずさの気まぐれコラム

精神科病院で働きながら、文筆活動を行う宮子あずささん。最近気になること、疑問に思うことなどを書きつづります

 

(38)豊胸手術の問題

 

 

母はヒトアジュバント病だった

 

昔、一緒に働いていた呼吸器内科の医師から、こんな話を聞きました。

 

「間質性肺炎の女性の中には、豊胸手術をしていた患者がけっこういるんですよ。特別な仕事の人じゃない、普通の主婦も多くて、驚きました」

 

名づけてヒトアジュバント病。大まかな定義は、「通常美容目的に使用されたパラフィンやシリコンなどの異物が体内に長期存在することにより膠原病類似の病態を呈する疾患」。検索すると研究論文も多数見つかります。

 

実は私の母も、ヒトアジュバント病でした。若いころに豊胸目的で注入したシリコンが、60代以降、体内で癒着や拡散。それにより、シェーグレン症候群、ANCA関連血管炎などの膠原病を発症したのです。

 

母は、大腸がん、慢性骨髄性白血病と、2つのがんを生き延びながら、膠原病による呼吸不全と衰弱で死去しました。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2024年2月号)