SPECIAL INTERVIEW 『“おまかせうんチッチ”で実現する 気持ちよく出す排便ケア』が刊行。「POOマスター」の実践に注目!

榊原 千秋 さん(写真前列左から2人目) 

(さかきばら・ちあき)

うんこ文化センター おまかせうんチッチ 代表

保健師・助産師・看護師・保健学博士

 

愛媛県宇和島市出身。保健師、ケアマネジャーを経験し、2005年に金沢大学大学院保健学系地域・環境保健看護学分野の助教・講師を経て、2015年石川県小松市に「合同会社プラスぼぼぼ」を立ち上げて独立。同時に「コミュニティスペースややのいえ」を開設。NPO法人日本コンチネンス協会認定コンチネンスアドバイザー。

 

「もっと“その人”の思いに寄り添った排便ケアを!」と考えた保健師・榊原千秋さんは、排泄ケアと便育の拠点“おまかせうんチッチ”を確立させ、その取り組みを『コミュニティケア 2018年11月臨時増刊号』で発信しました。そして2020年12月、臨時増刊号は、その内容を大幅にバージョンアップして書籍化。おすすめポイントを編集担当者がうかがいました。

 

■続々と増えている「POOマスター」

 

――榊原さんには、『看護』2019年3月号のこのコーナーににご登場いただきましたね。あらためて“おまかせうんチッチ”の説明をしていただけますか?

 

榊原:はい、“おまかせうんチッチ”は、地域の排泄ケアの相談窓口となる事業と、排便ケアのプロフェッショナル「POOマスター」を養成する事業を総称する活動で、まさに「気持ちよく出す排泄ケアプログラム」と考えています。赤ちゃんから高齢者まで、生まれてから最期の日まで、病気があっても障がいがあっても、誰もが「気持ちよく排泄できること」をサポートする地域における拠点をつくりたい、と2016年に“おまかせうんチッチ”を「ややのいえ」の場に創設しました。

「ややのいえ」は、訪問看護ステーション・助産院・暮らしの保健室が1軒の民家の中に集まっていて、地域の人が気軽に立ち寄れる「コミュニティスペース」です。そして、2018年には2つめの拠点となる「とんとんひろば」も開設しました。ここは「POOマスター」養成の拠点にもなっています。

 

――「POOマスター」は、誰がどうやったらなれるのでしょうか?

 

榊原:「POO」は幼児が使う英語で「うんち」を意味します。つまり、POOマスターは「うんちのことをマスターした人」、誰もが気持ちよくうんちをできる方法をマスターした人ということです。

POOマスターになるためには、「POOマスター養成研修会」を受講していただき、認定試験に合格しなければなりません。この養成プログラムは私が金沢大学大学院時代に行った介入研究を通じて生まれたもので、具体的には、連続した2日間のOFF−JTプログラムを2回、1カ月のOJTを挟んで行い、さらに3カ月後に認定講習会を行います。

POOマスターは、最終的には「排便ケアを基軸としたコミュニティケアの実践者」になってほしいと思っています。POOマスターが“よりよい排便ケア”をめざすことで、地域づくりにも寄与していく。まさに「地域包括的排便ケア」が、今、全国で求められていると思っています。

POOマスターは着々と増えていて、2020年度末には全国36都道府県で400人を超えます。当初は看護職が多かったのですが、今は医師・薬剤師・PT・OT・ST・栄養士・介護職・保育士・研究者など多岐にわたっています。

 

――臨時増刊号のときは130人くらいでしたから、すごい増え方ですね。POOマスターの何が皆さんを惹きつけるのでしょうか?

 

榊原:“その人”に寄り添った「気持ちよく出す排便ケア」を実現できて、本人・家族の嬉しそうな顔を見られることはもちろんですが、POOマスターが“まちづくり”にもかかわれるという、より大きな可能性を感じていただけるからではないでしょうか。

徳島で開催した「POOマスター養成研修会」に参加された在宅医の方からは「この研修会は“排便ケア”だけじゃないよ。“コミュニティケアのプロフェッショナル”を養成しているんだ」と感想をいただきました。また、「ウンチ博士」で有名な辨野義己先生からも、本書の帯に「ウンチでコミュニティケア」と題した推薦の言葉をいただき、「地域包括的排便ケア」をめざす私たちの取り組みが前に進んでいることを実感できています。

 

■27人のPOOマスターからの報告に“気づき”が

 

――では、臨時増刊号が書籍化して、どこが変わったのかご紹介ください。

 

榊原:まず、臨時増刊号のときよりも、〈総論〉〈解説〉が大幅にバージョンアップしています。図表も新たに加えて“おまかせうんチッチ”の理念や「気持ちよく出す排便ケア」のポイントがよりわかりやすくなっています。

〈報告1〉の事例は半数以上入れ替わり、8人のPOOマスターが新しい取り組みを紹介しており、〈報告2〉では19人もの多職種のPOOマスターが「地域包括的排便ケア」の実践を報告します。職種や地域によって、実にさまざまな“おまかせうんチッチ”がありますが、その根底に流れるものは同じです。その“気づき”を得ていただけると思います。

それから今回、新たに掲載できた〈物語〉は、“おまかせうんチッチ”の拠点である「ややのいえ」のスタッフが、排便ケアを通して“その人”の人生にふれて成長できた4つの物語を紹介しています。そこには、生活の中での排便ケアの実際と、そのやりがいがいっぱい詰まっています。

さらに、今回のおすすめポイントとして〈column〉の充実があります。便育ではとても大切になる「すっきりお通じ、免疫力アップ」するお腹にいい食事のレシピもあれば、小松市の行政保健師の方が“まちづくり”の視点で“おまかせうんチッチ”について評価してくれています。

 

――なるほど、臨時増刊号を持っている方が購入しても無駄ではないということですね。

 

榊原:新しいことをたくさん盛り込みましたから……ちょっと強気だけど“もちろん”です(笑)。少しでも「よりよい排便ケアをしたい」と思っている方は、本書を読んでいただければ、きっと一歩踏み出す元気が出てくるはず! ぜひ、手にとってみていただければ幸いですね。

 

 

書誌情報


“おまかせうんチッチ”で

実現する

気持ちよく出す排便ケア

 

榊原千秋/編

●A4変型 160ページ

●定価(本体2600円+税)

ISBN 978-4-8180-2305-5

発行 日本看護協会出版会

(TEL:0436-23-3271)

 

 

 

 

 

主な内容

〈総論〉気持ちよく出す排便ケアプログラム

“おまかせうんチッチ”

排便ケアプログラム“おまかせうんチッチ”とは何か? ナースが生み出した「生活に寄り添う排便ケア」が明らかになります。

〈解説〉これだけは知っておきたい!「排便」に関する基礎知識

“その人”の思いをかなえる「排便ケア」のために必要な知識と技術を多くの図表とともに解説します。

〈報告1〉排便ケアのプロフェッショナル「POOマスター」の実践

〈報告2〉「POOマスター」の地域包括的排便ケア

本人・家族の気持ちに寄り添う、排便ケアの専門家「POOマスター」の実践を、訪問看護ステーション・クリニック・急性期・回復期病院・高齢者総合ケア施設など全国27カ所の看護師・医師・介護職などが報告します。

 

看護2021年2月号より

 

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