訪問看護ステーションの経営戦略(6)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

SWOT分析結果から

クロス分析をしてみよう

渡邉 尚之

 

クロス分析とは

 

今回は、5月号で取り上げたSWOT分析の結果を基に行う「クロス分析」について解説します。

 

簡単に復習すると、SWOT分析とはStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとったもので、企業の限りある経営資源の現状分析や将来の事業構想に役立つフレームワーク(枠組み・構造)として活用できる経営分析手法です。

 

SWOT分析のメリットは、フレームワークがシンプルで取り組みやすい点です。事前準備や大がかりな予備知識は不要です。複数人で作成できる点も魅力です。一方、デメリットは、強み・弱み・機会・脅威はそれぞれ絶対的ではなく相対的なものであるため、各要因を自ステーションの現状の中でどう捉えるかを考えて分析・分類する必要がある点です。また、SWOT分析はこれから紹介するクロス分析と合わせて活用しなければ単なる現状分析で終わってしまい、事業の具体的な方向性や今後の経営戦略を見いだせない点も重要です。このため、SWOT分析とクロス分析はセットで活用する必要があります。

 

 

クロス分析は、SWOT分析で抽出された強み・弱み・機会・脅威を掛け合わせ、経営課題や理念、目標達成のための取り組みを見える化するフレームワークです。❶強み×機会、❷強み×脅威、❸弱み×機会、❹弱み×脅威、の4パターンから戦略を考えます。

 

クロス分析の実践例

 

表は5月号のSWOT分析例(一部変更)をクロス分析したものです。SWOT分析で書き出した個々の要因に番号を振ると、関連性がより明確になります。以下に、クロス分析の考え方とそこから導かれる戦略を解説します。

 

 

続きは本誌で(コミュニティケア2018年6月号)