SPECIAL INTERVIEW エンドオブライフケアを考えるすべての方へ「生きる」を考える-自分の人生を、自分らしく

 

「生きる」を考えることは“自分の人生を自分が主人公になって切り開き、主体的に創りあげていく姿勢や態度”であり、“人と人のかかわりの中にある生と死を学ぶことそのもの”であろう(「発刊に寄せて」より)。新刊『「生きる」を考える』の編者・長江弘子さんと執筆者・秋山正子さんに、本書の読みどころや込めた思いなどをうかがいました。

 

 

 

 

 

 

――本書の編集・発行の経緯を教えてください

長江 2010年より5年半、日本財団の委託事業として千葉大学大学院看護学研究科において、「領域横断的エンドオブライフケア看護学の構築」を行いました。その中で普遍教育教養展開科目「生きるを考える」を開講し、さまざまな領域の方々から「生きる」をテーマに貴重なお話をしていただきました。本書は2015年度の講義を基に再編成し、1冊にまとめたものです。医療職以外の方にも広く読んでいただけたらと思っております。

 

――秋山さんは講義を担当されていかがでしたか
秋山 看護学専攻の学生や大学院生に話す機会はよくありますが、この講義の受講者は医療関係以外の学部生も多いので、まず話に興味を持ってもらう、そして今後の考える材料としてもらいたいと思いながら話しました。とても熱心に聴いていただき、手応えを感じました。

 

――本書は4つの章で構成されていますね
長江 「第1章 人間の生と死」では、哲学者、生命倫理の専門家、宗教家の立場から、生と死、そしてどう生きるかについての考え方を整理していただきました。「第2章 人生と出会い」では、人との出会いにより自分を知り、自分にできることを見つけ、それがどのように自分の人生となっていくかを物語っていただきました。「第3章 病とともに生きる人生」では、ご自身の病の体験を基に起こした活動をいかに社会に広げたかを熱く語っていただきました。最後に「第4章 くらしと医療」では、わが国の医療制度を踏まえつつ、1人ひとりの生き方を尊重する医療や地域社会をどのように実現していくか考える手立てを示していただきました。

 

第1章で生と死について基本的な視野が広がるとよいなと思っています。そして、社会の仕組みの中でどのように生きていくのか、第4章で考えていただきたいですね。

 

社会に焦点を当てると第4章ですが、一個人に焦点を当てると第2章・第3章となります。第2章では人生の岐路でどのように変わり、そのことをどう捉えたか、そして第3章では思いがけない病となったとき、病とともにどう生きていくか……。つまり、どう生きていくかはその人次第なのだよということを感じていただきたいですね。

 

――秋山さんは第4章で「住み慣れた地域で暮らし続けるために」と題して執筆されましたね

秋山 これからの超高齢社会を生き抜いていくには、人任せではだめなのだということ。もう少し予防的な視点を持ちながら、地域社会の中でお互いに支え合っていかなければならない。そのために、自分たちで生きることを考えてもらえたら、という思いで書きました。そして地域包括ケアシステムが絵に描いた餅ではなく、本当に身近な地域の仕組みとして動くためにはどうしたらよいか、そのことを考えるきっかけになればという思いですね。

 

――本書の読みどころや、込めた思いをお聞かせください

秋山 私がセンター長をしているマギーズ東京は、がんの患者さんに語る場を提供しています。語ることにより自分の持つ力に気づき、自ら歩み出していかれる姿に、私たちは日々教えられることが多いです。その意味でも「第3章 病とともに生きる人生」は、多くの人に読んでもらいたいですね。執筆された3名の方が、それぞれご自分の体験から得たことを、体験者として発信しようと活動される。その生の声に耳を傾けて聴き、そこから得られるものを感じていただきたいです。

 

長江 この本が「生きる」ことを考え、何かに気づく、そして語るきっかけになればよいなぁと思っています。言葉を持っているから人間であり、感情を持っているのも人間です。考えを語る、表現をすることは、自分を確かめることであったり、自分を知ってもらうためだったりするわけで、確かめられたり知ってもらえたことは喜びになり、自分が生きていることの証明ともなるわけです。言葉を通して人とつながることは、人間の尊厳を守っていくために大事なことだと思います。この本によりふと立ち止まり、考え、語ることにつながれば編者としてうれしいです。

 

――最後に読者へのメッセージをお願いします

秋山 まず、手にとって読んでいただきたいですね。どこからでも読み始めることができます。7月にお亡くなりになった日野原先生のお話もありますね。10歳のときに病気で3カ月学校を休まれた経験が「いのち」について考えるきっかけとなったことなど、百余年の先生の歴史が語られています。手にとって読んでいただくことから、「生きる」を考え、語ることがスタートできるでしょう。

 

長江 自分らしく生きるために、そして自分を知りたいと思ったときに、この本を読んでいただきたいです。他の方の人生や考えにふれることで、自分もがんばっているな、こうやっていけばいいのだな、自分の人生もまんざらでもないなと思えるのではないでしょうか。自分の人生を肯定することは、尊厳ある生、尊厳ある死を考えることにつながります。様々な人の人生、さまざまな生と死に出合うことを通して、心が豊かになる時間を得て、元気になっていただけたらと思います。

 

「生きる」を考え

自分の人生を、自分らしく

 

長江弘子 編

 

●B5判 256ページ
●定価(本体2200円+税)
ISBN 978-4-8180-2053-5
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)

[内容・著者]
第1章 人間の生と死
アルフォンス・デーケン/
足立智孝/遠山玄秀/山崎章郎
第2章 人生と出会い
日野原重明/冴木杏奈/横湯園子
第3章 病とともに生きる人生
射場典子/鈴木信行/藤本啓子
第4章 くらしと医療
池崎澄江/木澤義之/西川満則/沖田伸也/秋山正子

 

-「看護」2017年10月号「SPECIAL INTERVIEW」より –


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