訪問看護ステーションの経営戦略(11)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

 

未収金管理によって
資金繰りを改善しよう

渡邉 尚之

 

 

資金収支への影響が大きい未収金管理

 

今回は訪問看護ステーションにおける未収金管理について取り上げます。未収金とは、売上が発生したものの、まだ入金されていない状態のお金です。未収金管理は、医療・介護事業経営において重要な課題です。なぜなら医療・介護事業では、小売店や飲食店のように商品の売上と現金の入金が同時に発生するのではなく、通常はサービス提供から実際の入金までに一定の間隔が発生するためです。特に、保険請求に基づく売上と入金には約2カ月のタイムラグが生じます。未収金管理をしっかりと行わなければ「いつ、いくら入金されるか」「現時点での未収金額はいくらあるか」「請求したとおりの金額が入金されているか」などを把握できなくなります。これは法人の資金繰りを悪化させる要因になりかねません。

 

経営では、売上や利益を増やすことも重要ですが、それ以上に重要なのは手元資金(キャッシュ)が底をつかない状態にすることです。手元資金のない“資金ショート”の状態になると、どんなに売上や利益があっても法人は倒産します。このような、利益があるにもかかわらず資金ショートで倒産することを“黒字倒産”といいます。そのため、経営者・管理者は常に資金収支の状況に留意する必要があります。この上で重要なポイントが未収金管理なのです。

 

訪問看護は保険請求が複雑

 

訪問看護ステーションの未収金は、①保険請求、②利用者負担金、の2つに大別できます。本稿では、保険請求について取り上げます。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2018年12月号)