SPECIAL BOOK GUIDE『ヴァージニア・ヘンダーソン没後20年/生誕120年記念コレクション』のできるまで

看護師のバイブル『看護の基本となるもの』を著したアメリカの看護理論家ヴァージニア・ヘンダーソンは、弊社ととてもゆかりが深い方です。そこで弊社では、ヘンダーソン氏の没後20年(2016年)、生誕120年(2017年)を記念して、著作3冊と映像DVDを収めたコレクションBOXを刊行しました。ここでは山あり谷ありだった制作秘話(?)をご紹介します。

 

 

■ヘンダーソン記念出版計画、始動

2016年年明け早々の企画会議で、ヘンダーソンの没後20年(2016年)、生誕120年(2017年)のメモリアルイヤーを記念して、ヘンダーソン記念出版事業を行うことが決まりました。当初は『看護の基本となるもの』10年ぶりの新装版、および『看護論』23年ぶりの新装版に加えて、絶版になっていた『ヴァージニア・ヘンダーソン論文集』と『ヴァージニア・ヘンダーソン90年のあゆみ』の復刻版を2016〜2017年の2年にわたり順次刊行する予定でした。

 

■著作権者が行方不明!?

『ヴァージニア・ヘンダーソン90年のあゆみ』はヘンダーソン氏の半生を綴った伝記の翻訳版です。版権交渉を著作権エージェントに依頼したのですが、なかなか返事がきません。不吉な予感が漂い始めたころ、ようやく返事がありました。原著の出版社が廃業しており、引き継いでいる会社も不明で、かつ著者も存命ではないため、交渉先が特定できない。よって版権交渉は“不可能”である、と現地のエージェントより連絡があったとのことでした。

 

これではどうしようもありません。本書の復刊は泣く泣く断念することになりました。

 

■記念出版=豪華函入り!?
ある日の企画会議でのこと。記念出版の進捗状況報告を行っていたところ、「記念出版といえば、やっぱり函入りでしょ」「ペラペラな安っぽいのでなくて、豪華なやつ」との声が。

 

一昔前は函入りの豪華本は結構あったような気がしますが、最近は出版不況の影響なのでしょうか、函入りの本を見ることはめっきり減りました。しかも“豪華”な函って、いったい制作費はいくらかかるのか、検討もつきません。このときから、デザイナーさんと印刷所を巻き込み、函の種類と費用を調べ、ひたすらコスト計算する日々が続きました。

 

同時に、豪華函入りにするならば、中身が既刊本2冊の新装版と復刻版1冊だけでは見かけ倒しになってしまうので、目玉商品を何かつくらなければ、と頭を悩ませることになりました。

 

■社員もほぼ知らない貴重映像が!?
目玉商品をどうするのか―これぞという案も思いつかないまま、ただ月日だけが過ぎていきます。そんなある日、販促計画について打ち合わせをしているとき、1人の営業部員がふと、「入社したころ、ヘンダーソンのビデオが図書目録に掲載されていたような……」とつぶやきました。同席していた他の人は「???」という感じでしたが、営業部フロアを家探ししたところ、ビデオ自体は見つからなかったものの、うん十年前の図書目録が発見されたのでした。

 

見ると、たしかに視聴覚教材(ビデオ)の欄に「V. ヘンダーソン学術講演会記録」と掲載されています。VTR、1983年制作、お値段6万5000円! 今いるほとんどの社員の記憶にないほど昔に廃盤になった、知る人ぞ知る商品。しかもヘンダーソン氏が表情豊かに、ご自慢の美声で語っている姿を目の当たりにできる、当社にしか存在しない超貴重映像です。これ以上に目玉となるものはありえません。即座にDVD化→目玉商品とすることが決定となりました。

 

1980年代のビデオなので映像自体はやや粗いのですが、DVD化にあたりビデオにはなかった日本語字幕を加え、さらに講演の英文原稿を付録小冊子にしました。英語の勉強にも最適です。ヘンダーソン氏が話す姿を見ながら英語の勉強ができるなんて、とても幸せな体験だと思いませんか。

 

■壁から編集部員を見守っている謎の女性!?
ところで、随分以前から弊社の編集部フロアの壁に、ニッコリ微笑む謎の外国人女性のポートレートがかかっていました。いつからそこにかかっているのか、誰がなんのためにかけたのか、そもそもいったいこの人は誰なのか、長い間あまりにも自然にそこに存在していたので、不思議に思いながらも誰もあえて口に出して問うことをしませんでした。

 

『看護論』の新装版を担当することになり、旧版の表紙をあらためて眺めてみたところ、表紙に小さく掲載されている写真が壁の写真の人と同一人物だということに気づきました。

 

壁の写真をよく見ると、写真の下に「With best wish to the nurse of Japan V. Henderson」という自筆サインが。なぜこんなものが会社の壁にかかっているのか―謎は後日、ヘンダーソン氏の著書の翻訳を多く手がけられている小玉香津子氏のお話により解明しました。

 

前述のヘンダーソン氏のビデオ映像は、1982年の来日講演のときのものです。日本看護協会創立35周年、同出版会創立10周年を記念して、当時雑誌「看護」の編集長だった小玉氏がヘンダーソン氏を招聘しました。ポートレートは、このときヘンダーソン氏が小玉氏と弊社にプレゼントしてくださったものだそうです。ちなみに撮影したのはヘンダーソン氏がかわいがっていた甥御さんで、プロのカメラマンとのこと。どおりで写真のヘンダーソン氏は、実に魅力的なすてきな表情をされているわけです。この写真は、記念コレクションの函の表側に使用しています。

記念コレクションができるまでの顚末のごく一部をご紹介しました。今しか手に入らない、数量限定の貴重なプレミアム版。

お見逃しなく!

 

 

ヴァージニア・ヘンダーソン 没後20年/

生誕120年 記念コレクション

 


●A5判 函入り

●定価(本体12,000円+税)

ISBN 978-4-8180-2070-2

発行 日本看護協会出版会

(TEL:0436-23-3271)

 

[DVD]

・1982年来日講演(京都)映像

 字幕/約40分/講演載録(英語)小冊子付き

[書籍]いずれもコレクション限定特装版

・『看護の基本となるもの』

・『看護論—25年後の追記を添えて』

・『ヴァージニア・ヘンダーソン語る、語る。

  —論考集・来日の記録』

 

→看護2018年4月号より

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