現場での医療安全の取り組みをサポートする
『自信がつく! 医療安全 My Book』を刊行!

東京海上のみなさん300

東京海上日動メディカルサービス株式会社
メディカルリスクマネジメント室の皆さん

同室は、病院やクリニックで発生する事故やインシデントを受け、コンサルティングや研修を通してサポートする組織。看護学・薬学・心理学などの視点で医療現場から寄せられるさまざまな相談に応じ、医療安全の取り組みを支援している

 

 

自信がつく医療安全MB

自信がつく!

医療安全 My Book

 

 雑誌「ナーシング・トゥデイ」の人気連載をベースに大幅加筆して完成したのが、『自信がつく! 医療安全 My Book』です。病棟などの医療安全担当者を中心に、すべての看護職に向けて、「医療安全の考え方の基礎」から「現場での実践に役立つヒント」までをわかりやすく解説しています。著者を代表して山内桂子さんと玉利英子さんにお話をうかがいました。

 

 

■今求められているのは“現場力”

 

山内:前著は、病院全体の医療安全を管理するリスクマネジャー(以下:RM)に向けて書きました。医療安全を進めていく上では、まずRMをサポートする必要があったからです。次に必要とされているのが、現場で実務を行う方の知識や意識を底上げすることです。本書はそういった、部署単位で医療安全に取り組んでいる方(以下:安全担当者)のためにまとめました。

 

玉利:現在、職能団体や学会等で行われている研修会や学習会の多くはRM向けのもので、現場の安全担当者に適したものは多くありません。そのため、医療安全について自分なりに勉強し、院内のRMや管理職の助けを借りながら手探りで実践している現状があります。そこを手助けできるガイドをめざして作成しました。

 

山内:前半の【知識編】では、医療現場で働くすべての人が知っておくべき、ベースとなる情報を整理しました。また後半は、個々のメンバーの知識を伸ばすだけでなく、組織全体の力を底上げし、チームで医療安全に取り組むための方法や考え方を、【実践編】としてまとめました。

 

 

■“安全担当者”にオススメの活用法

 

山内:実務と離れてじっくり読むというよりは、病院の中で使いながら現場を見直したり、気づいたことを同僚と話したりしてほしいので、休憩時間に気軽に読めるような平易な表現を心がけました。章や節も細かく分けているので、勉強会の前に「2章の1だけ読んでおいて」という使い方もよいと思います。本書を読むことで、スタッフに対して自信をもって指導することができます。

 

玉利:自部署の安全管理に課題を感じたときに使いやすいよう、グループワークの手順や具体的な取り組みのヒントも盛り込みました。また、学んだ後に自分の組織を振り返ることは非常に有効なので、章ごとに「チェックシート」を付けました。学びが深まり実践につながりやすいので、ぜひ利用していただきたいです。

 

山内:Q&Aの1つひとつを、カンファレンスなどで話題にしてもらうのもよいですね。ナースは医療安全について常に心がけているのですが、あらためて職場で話す機会は意外に少ないでしょう。医療安全について日常的に話し合う土壌があれば、もし何か起きたときにも、建設的な意見交換ができるのです。現在、医療安全の研修は、年2回程度が義務づけられていますが、施設全体で座学中心に行われています。実際にはそれに加えて、現場単位でフランクにやり取りのできる勉強会がとても有効で、本書はそこで使うのに最適です。

 

玉利:付録では、SBARなどのコミュニケーションツールを、簡潔にカード型にまとめました。これらのツールを活用するとき、初めは抵抗があるかもしれません。ですが、安全のために必要なことなので「カードをコピーして貼る」「ネームホルダーに入れる」「しおりに使う」などの方法で日ごろから意識づけをしてほしいですね。

 

山内:1人で始めるのではなく、部署や施設で共通のツールとして導入するのが成功の秘訣です。なお、安全担当者の方には医療安全の新しい動きにも敏感になってほしいので、情報提供をしているサイトのQRコードも掲載しています。

 

 

■“医療安全”を職場改善に役立てる

 

山内:管理者の方は、各部署に医療安全をリードする人がいれば安全だと思うかもしれませんが、本当は1人ひとりのナースが、「決まりだからやる」ところから「もっといいやり方はないか、もっと安全な方法はないか」と考えられるようになることが大切です。

 

玉利:本書を材料にディスカッションする中で、現場の意識が高まり、安全文化が育つのが理想ですね。

 

山内:安全が優先される文化というのは、お互いにモノが言いやすく、教え合うことができ、必要な報告や情報共有ができることなのです。職場の雰囲気がよくなるので非常に働きやすくなります。手技を覚えてルール通りにやることはもちろん大切ですが、現場の現状は変化するので、自分で考えられるナースを育てることが必要です。

 

玉利:自分たちで考えて、不便なところや困っている点を伝え合った上でルールの修正を行うと、結果的にルールが守られる職場になるということもいえますね。

 

山内:医療安全を余分な業務と考えないで、自分たちの職場を働きやすいものにするために大いに活用してほしいと思います。

 

 

◆安全担当者にオススメ!◆

 

自信がつく! 医療安全 My Book

 

 

 

◆リスクマネジャーにオススメ!◆

 

※前著

 

リスクマネジャーのための医療安全実践ガイド

 

 

-「看護」2013年12月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –