INR153号(10/1発売)特集「災害と情報」

「立ち読み」ページへ

東日本大震災の発生から半年が経過しました。弊社では9月1日に183人の看護職による700頁を超える活動報告『ルポ・そのとき看護は:ナース発 東日本大震災レポート』を刊行しました。自ら被災をしながら地域で・病院で・避難所で患者のケアにあたった人々、震災直後から被災地支援に動いたさまざまな立場のナースたちの、後世に残る貴重な声を集めています。

 

一方、本誌の特集「災害と情報」では今回の震災や原発事故をめぐるこのような多数の看護職の活動に関する「情報」についての側面に注目し、被災地の第一線で活躍した人々の動きを振り返りました。

 

また本特集では、看護職だけでなく、テレビ局のディレクター、物理学者、精神科医、WHOやユニセフの関係者など、多様な立場から災害時の情報の在り方に関する提言をいただきました。とくに情報と並んで災害支援において最も重要な要素である、ロジスティクス(物流)に携わったトラック業界や製薬業界などの動きについても、平素の準備と発災時の対応に関する貴重な報告を掲載しています。

 

:::

 

インターナショナル ナーシング レビュー153号(2011年秋号)

特集「災害と情報」目次

 

〈コラム:私たちは災害時に「情報」とどう向き合うべきか〉

①安全と安心:そこには世界観がにじみ出る(宮子 あずさ/看護師・著述業)

②災害時のマスコミ報道は誰に向けて発信されたのか(青山 浩平/NHK番組制作ディレクター)

③発災直後のネットを介した情報ボランティア(中山 和弘/聖路加看護大学看護情報学)

④「情報」は真実でもなければ、嘘でもない(大山 太/看護師・国際緊急援助隊員)

⑤ああ情報!─ 日常的な連携、情報交換のシステムが非常時に役立つ(濃沼 信夫/東北大学大学院・医療管理学)

⑥WHOが行った情報収集と世界への発信(高田 洋介/神戸大学大学院・WHO西太平洋地区事務局〈当時インターン〉)

⑦被災地における調査・研究の倫理的問題(岡崎 伸郎/仙台医療センター精神科部長)

⑧異分野間の偏見や思い込みを超えて「放射線の怖さ」に立ち向かう(坂東 昌子/知的人材ネットワークあいんしゅたいん理事・物理学者)

 

〈1.被災地での活動と情報〉

地元商店街の活動で築いたネットワークを活かして物資を調達(齊藤 裕基/あゆみ訪問看護ステーション)

医療チームを待たず、看護師が自主的に避難者の既往・服薬歴を聞き取り(高橋 晶子/南三陸町地域包括支援センター主任保健師)

時間の経過とともに変化し始めた地域の医療・生活ニーズの正確な把握(伊藤 慶子/石巻市健康推進課・保健師)

「最前線の病院を絶対に疲弊させない」ための受け入れ・支援体制(安彦 武/東北大学病院高度救命救急センター・救急看護認定看護師)

岩手県における災害支援ナースの受入れについて(佐々木 雅子/岩手県保健福祉部医療推進課・保健師)

被災地の情報拠点における、災害医療コーディネーターの動き(大庭 正敏/大崎市民病院副院長)

 

〈2.被災地への支援と情報〉

地震当日から災害支援ナース派遣までの1カ月間、経験し、感じ、考えたこと(松浦 志野/東京医科歯科大学大学院)

小さな情報を集約することで、現地のニーズが浮かび上がってくる(川谷 陽子/愛知医科大学高度救命救急センター・救急看護認定看護師)

医療者単独で被災地に入るより、多職種でチームを組むほうが機動力が上がる(安藤 真知子/在宅ケアセンター「ひなたぼっこ」看護師)

毎日の詳細な活動報告が、後続派遣とのスムーズな連携のために必要(宮首 由美子/自衛隊中央病院・感染管理認定看護師)

初めての災害医療支援参加:HuMA先遣隊として被災地へ(反保 太一/HuMA東京サポートオフィス・看護師)

避難所における褥瘡発生と予防対策の課題(中川 ひろみ/日本看護協会看護研修学校)

現地コーディネーターとしての体験を通じ、実感した被災地のリアリティ(石井 美恵子/日本看護協会看護研修学校)

日本赤十字社による救護活動:切れ目のない支援展開に必要なこと(丸山 嘉一/日本赤十字社医療センター国内医療救急部部長)

DMAT(災害派遣医療チーム)の活動:日本が初めて経験した広域医療搬送(小井土 雄一/厚生労働省DMAT事務局長)

 

〈3.ロジスティクスと情報ネットワーク〉

全日本トラック協会による災害緊急物資の輸送(永嶋 功/全日本トラック協会広報部長、情報化推進部長)

医療用医薬品の供給:日本製薬工業協会の対応(伍藤 忠春/日本製薬工業協会理事長)

日本ユニセフが実施した栄養調査から見える、食料支援の課題(國井 修/ユニセフ・ソマリア支援センター保険・栄養・水衛生事業部長)

HuMaの支援活動の土台となったメーリングリスト(鵜飼 卓/災害人道支援会〈HuMA〉顧問)

宮城県災害保健医療支援室が展開した情報管理体制(上原 鳴夫/東北大学大学院・宮城県災害保険医療アドバイザー兼コーディネーター)

 

 


「インターナショナル ナーシング レビュー」153号(vol.34 no.5)全体の目次と「立ち読み」はこちら。