押さえておきたいワンテーマ

医療、看護、介護、福祉に関連したテーマを各回1テーマずつ取り上げていきます。

 

メッセンジャーナースの
可能性を知る

 

田畑 千穂子

NPO法人

メッセンジャーナースかごしま

代表理事

 

 

 

鹿児島大学大学院保健学研究科博士前期課程修了、認定看護管理者、日本看護倫理学会代議員、2017~2022年鹿児島県看護協会長、2011年メッセンジャーナースS認定取得、2022年4月NPO法人を設立。
同法人で、メッセンジャーナース事業(育成や開業支援)、地域の看護の拠点づくり(てらの保健室やメッセンジャーナースカフェの開催、鹿児島市の女性つながりサポート事業を受託)、ACP推進事業(2022年鹿児島市・枕崎市で市民の集いを開催)など鹿児島の地域性を重視した活動を展開している。

 

 

認定看護管理者をめざしながら“メッセンジャーナース”へ

 

14年前、父がCOPD合併心不全から何度も救急搬送され、ショック状態のときもありました。病棟看護師長であった私はすぐに職場を離れることもままならず「今度は厳しいかも」と慌てる母の電話に覚悟する日々でした。実家は大隅半島の田舎町で自宅からは3時間を要するため「こんなときに駆けつけてくれる看護師はいないだろうか」「もし、フリーな看護師がいれば雇いたい」と、よく考えていました。

 

翌年、認定看護管理者教育課程サードレベルの研修で村松静子先生(在宅看護研究センターLLP代表)と出会い、「そんな看護師がいますよ。メッセンジャーナースです」と教えていただきました。何かが腑に落ちた私は認定看護管理者をめざしながら民間認定のメッセンジャーナースとなりました。

 

“メッセンジャーナース”とは

 

メッセンジャーナースとは、「医療の受け手が自分らしい生を全うする治療・生き方の選択を迫られた時に、医療の受け手に生じる心理的内面の葛藤をそのまま認め、医療の担い手との認識のズレを正す対話を重視し、医療の受け手自ら選択・納得に至るまでの懸け橋」になる看護師です。

 

メッセンジャーナースの創設者は2011年にフローレンス・ナイチンゲール記章を受章した村松静子先生で、主体的な医療の実現に向け、医療の担い手・受け手双方の懸け橋となるべく、2010年10月にメッセンジャーナース認定協会を設立されました。メッセンジャーナースは経験10年以上の看護師が、認定協会が主催する研鑽セミナー(Ⅰ~Ⅵ)を受講することで認定されます。3年ごとに更新され、私は4度目の更新を受けました。

 

→続きは本誌で(看護2023年11月号)