104歳の内科医・日野原重明先生も実践中! 『看護に生かす腹臥位療法 うつぶせ寝で「身体と心」を取り戻す』が発刊 うつぶせ寝は寝たきりを防ぎ、QOLを改善する 極めて論理的かつ庶民的な健康法!

「腹臥腹臥位療法-表紙位、うつぶせ寝」と聞くと、医療職である看護師はSIDS(乳幼児突然死症候群)のことが頭に浮かび、まず否定的な考えを持つことが多いかもしれません。しかし、高齢者にとっては、“自然の力”を利用した実に多くのメリットがある体位で、日本看護技術学会監事でもある川嶋みどり氏は「腹臥位療法は自然の回復過程を整えるという意味からも、極めて看護的な療法である」と述べています。

 

本書は“看護の視点”から腹臥位療法を解説した日本初の書。あなたの看護にプラスαのスキルとして身につけることができる「腹臥位療法」の世界を覗いてみませんか?

 

 

■「腹臥位療法推進研究会」の18年

 

日本における腹臥位療法の研究は、日野原先生が1999年に立ち上げた「腹臥位療法推進研究会」が年1回開催する「腹臥位療法セミナー」により継続してきたといえるでしょう。

 

2016年6月11日に東京・聖路加国際大学で開催予定の「第17回腹臥位療法セミナー」では、医師・看護師・理学療法士・介護職など、さまざまな職種が集まり、日々の腹臥位実践の報告や情報交換を行う予定です。今年も開会のあいさつを日野原先生自身が行います。

 

この腹臥位療法セミナーでは、これまで、下側肺障害で低下した動脈血酸素分圧(PaO2)が腹臥位にすることによって著明に改善するといった医学的にも証明された効果をはじめ、「イビキや睡眠時無呼吸がなくなる」「褥瘡を防ぐ」「タンが出やすくなる」「飲食物の誤嚥が減る」「尿が出やすくなる」「生活不活発病を引き起こさない」「認知症の症状がやわらぐ」など、さまざまな効果が報告されてきました。

 

 

■“看護・医療の視点”で腹臥位の効果を解説

 

本書はまず、日野原先生の自らの体験を含めた腹臥位療法の素晴らしさが語られる“巻頭言”から始まり、次の“第1章”では、「日本て・あーて,TE・ARTE,推進協会」理事長でもある川嶋みどり氏が腹臥位療法の基本的な原理と、その歴史を語ります。

 

本書のメインの章ともいうべき“第2章”では、セミナーで報告をした看護職7人による腹臥位療法の詳細な事例紹介が掲載されています。報告する看護職の実践の場は、急性期から療養病床・デイサービス・訪問看護とさまざま。腹臥位療法が高齢者の生活に合った、薬を使わない自然な療法であることが詳細に述べられます。

 

“第3章”では、具体的な腹臥位療法の方法が解説されます。無理な体位変換やうつぶせによる窒息などの危険を十分に考慮して行えば、腹臥位療法は簡単に取り入れることができ、特に呼吸器の障害に関してはすぐに効果が表れる方法であることが実感できます。

 

“第4章”では、「腹臥位療法の“よくある質問”に答える」として、「腹臥位療法の直接効果」「腹臥位にする時間の長さ」「意識障害のある人への腹臥位療法」「完全腹臥位になれない人への半腹臥位のすすめ」など、最も興味深いと思われるケースがQ&A方式で解説されます。「腹臥位療法って何? 」と思う人は、まずこの章から読まれるとよいでしょう。

 

“第5章”の「もっと深い知識を求める人のために」は、腹臥位療法を“治療”の一環として導入してきた医師2人による論文です。特に編著者でもある丸川征四郎氏による「腹臥位の生理学的効果とその機序―急性呼吸不全に対する腹臥位の効果」は、急性呼吸不全患者を仰臥位から腹臥位に体位変換することで、どのように生理学的・病態的な変化が生じて呼吸不全が改善するのか、その作用機序や適応が、図とともに丁寧に解説されます。腹臥位療法は“治療”になり得ることを理解できる章となっています。

 

■高齢者や半麻痺のある患者に適した療法

 

“巻頭言”において日野原先生は「腹臥位療法は予防医学的にもリハビリテーションにも効果的であることが多くの報告から示されています。また、身体を動かすことで認知症予防にもつながります。柔らかい枕を上手に使えば、呼吸も苦しくありません。ぜひ、高齢者や半麻痺のある患者には実践してみてほしい」と強調します。

 

ただ、うつぶせにするだけで何が変わるのか? 本書で“腹臥位療法”の世界に触れて、あなたの看護にプラスαのスキルを追加してみませんか?

 

 

-「看護」2016年6月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –

 

看護に生かす腹臥位療法

うつぶせ寝で「身体と心」を取り戻す