臨床での問題意識を質的研究に...

戈木:臨床の現場で、GTAに限らず質的研究が使われる機会が増えるためにはどうしたらいいと思いますか? 教育現場は学生としてモチベーションの高い人が学びに来るところなので簡単ですが、臨床の場に広げていくことが実は看護学の発展にとっても重要だし、より難しくもあります。

 

西名:やはり「知ってもらう」ことでしょうか。僕の知る限りでも質的・量的に限らず、臨床の場ではまだまだ研究をすることが身近ではないと思います。研究することや研究方法がどういうものなのかを、まずは知ってもらいたい。実際に臨床で仕事をしながら研究をするのはすごく大変なことだと思うんですが、教育の場と臨床の場が協力して看護を発展させていくという方法もあると思います。そのためにも、少なくとも研究法について臨床看護師が「知る」ことが、もっと身近になるべきではないでしょうか。本書のような誰もがアクセスしやすい出版物や、岩田先生のように病院へ研究指導に行かれることを通じて、学んでもらう機会が増えることも大事だと思います。

 

岩田:看護の場面では質的な研究を通してしか知り得ないことが、いっぱいあると思います。現象を読み取っていく力と研究の下地となる知識が、大学を卒業するまでに習得できていれば、臨床に出た時に「何が起こっているんだろう」とか「どういう意味があるんだろう」と自分がやっている看護を考えるきっかけになると思います。そうは言っても看護学生は必修科目も多いですし、臨床に出ても卒後教育で学ぶことがたくさんあるので、両立はハードルが高いかもしれません。西名くんのように臨床で経験を積んだ後に大学院へ進学し、研究について学んだ上でまた臨床に戻り、現場で起こっている現象をスタッフとともに研究していくような流れが必要なのかなと思います。そうすることで自分たちの看護に納得感を持てれば、質的研究をやってみたいという人も増えるかと思います。

 

西名:そうですね。現場の人が「こういうことができるんだ」という実感を得ることが非常に大事だと思います。

 

岩田:自分が臨床で働いていたときのことを振り返ると、臨床の場では研究はノルマでしかなく、現場での疑問から発展した研究の蓄積が、教科書の内容につながっているのだという認識がなかったと思います。だけど一つひとつの知識の積み重ねの大切さについて話してみると、みんな興味を示してくれる気がします。

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