私たちが生きる日常には、
言葉では掬いきれないものごとがたくさんあります。
意味に埋め尽くされたこの世界で見失いがちな、大切なもの。
たとえば、ここに私がいてあなたがいる。
そのことの途方のなさを身体ぜんたいで受け止めようとして、
詩人はいつも、何かをじっと待っています。
谷川 俊太郎 たにかわ しゅんたろう
1931年東京生まれ。詩人。
1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。 1962年「月火水木金土日の歌」で第四回日本レコード大賞作詞賞、 1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、 1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、 1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞、 2010年『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞など、受賞・著書多数。 詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表。 近年では、詩を釣るiPhoneアプリ『谷川』や、 郵便で詩を送る『ポエメール』など、 詩の可能性を広げる新たな試みにも挑戦している。
谷川俊太郎*com より
西村 ユミ にしむら ゆみ
首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授。看護師。
1991年日本赤十字看護大学卒業。神経内科病棟での臨床経験を経て、1997年女子栄養大学大学院栄養学研究科(保健学専攻)修士課程修了。2000年日本赤十字看護大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。2006年大阪大学コミュニケーションデザイン・センター臨床部門助教授、2007年同准教授。現象学・身体論を手がかりとしながら看護ケアの意味を探究している。臨床実践の現象学会主宰。著書に『語りかける身体:看護ケアの現象学』(ゆみる出版)、『交流する身体:「ケア」を捉えなおす』(NHKブックス)、『看護実践の語り: 言葉にならない営みを言葉にする』(新曜社)などがある。