連 載

ケアする人のためのワークショップ・リポート 井尻 貴子

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「口をめいっぱいあけて息を吸う/普通に吸う。違いを感じて、みつける。胸の開き方、おなかの膨らみ方を感じる……」(「ケアする人のケアハンドブック  言語から身振りへーからだを読み解く」より転載/撮影:天野憲一)

ワークショップを「つくる」

 

このようなワークショップを開催するにはどうしたらよいのでしょうか。最初にすることは、なんといっても、「目的を決めること」でしょう。その目的を決める際、私はいつも、そのワークショップで「参加者にどんな時間を過ごしてほしいのか」を考えるようにしています。

 

それはもちろん「私自身がどんな時間を過ごしたいのか」に重なります。リラックスしたい、楽しく過ごしたい、みんなでからだを動かしたい……。いろんな「やりたいこと」を確認し、どうしてそれをやりたいのかを掘り下げていくことで、根っこにある目的が見えてくるのです。

 

次に必要なのは、名前をつけること。例えばケアの現場で働く方々に、今回ご紹介したようなワークショップをご案内すると、「ダンスってハードルが高い」「難しそう」といった言葉を聞くことがよくあります。

 

確かに「ダンス」というものに苦手意識を持つ人は少なくないでしょう(実は私もその一人です……)。その理由は、ダンス=うまく、かっこよく踊ること、というイメージがあるからかもしれませんね。でもここでの「ダンス」の目的は、「からだに向き合い、からだを感じる」ことです。うまく、かっこよく動くこととはまったく関係がありません。

 

つまり、もしその名前が参加者を遠ざけてしまうなら、あえて「ダンスワークショップ」と呼ばないほうがよいこともあるのです。「からだを使って、新しいコミュニケーションの回路をひらく」こと、それを参加対象者に伝わりやすい言葉に翻訳するのです。これは、ワークショップを行う際に、とても大切なことだと思います。

*この記事の執筆にあたり、関係者の許可を得て以下よりテキスト・写真を一部抜粋、加筆・修正しました。「ケアする人のケアハンドブック 言語から身振りへーからだを読み解く」(財団法人たんぽぽの家、2011年)

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第1回:からだを使って、新しいコミュニケーションの回路をひらく

    〜 佐久間 新 さん(ジャワ舞踊家) >>

 

第2回:音であそぶ、音とあそぶ「音あそび実験室」

    〜コヒロコ (音楽ユニット) >>

 

第3回:みえるものと、みえないものと。

    〜 視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ  >>

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