連載「まなざし」を綴じる─ZINEという表現のかたち
藤田 理代
第6回:ZINEのつくりかた〜綴じかた篇
「掌の記憶」で使う道具と素材
BOOK2:糊で連ねるZINE -
じゃばら豆本
2冊目は「豆本」から一例、第3回でご紹介した「掌の記憶」のつくりかたをご紹介します。じゃばら折りにした和紙を糊付けして、長く連ねた豆本。「経本綴じ」をベースに、A4サイズの紙でも印刷・製本しやすく、できる限り紙を無駄にしないかたちにアレンジしています。和綴じよりは細かな作業が多くなりますが、Instagramのましかく写真などもおさまりやすい本のかたち。 “大切な記憶”を持ち歩く、御守りのような小箱入りの豆本2冊組です。
※この記事では専用の製本道具は使わずに、100円ショップでも手に入る木工用ボンドや小筆で代用できる方法をご紹介しています。専用の製本道具を使ったしっかりとした手製本の方法は、書店や図書館の書籍やインターネット上にもたくさん掲載されています。「経本綴じ」で、ぜひお探しください。
◉ 本のかたち□ 6cm各のじゃばら豆本:じゃばら製本2冊組(72P/28P)、外箱 60mm ✕ 60mm / 本文 55mm ✕ 55mm ◉ 必要な素材□ A4サイズの和紙9枚(本文用7枚、表紙用1枚、外箱用1枚。コピー用紙よりは厚みのあるもの)□豆本2冊の表紙と外箱用のA4サイズの厚紙1枚(はがきよりは厚めで、程度強度のあるもの)/冊子1の表紙(横幅60mm✕縦幅157mm)、冊子2の表紙(横幅60mm ✕ 縦幅140mm)/外箱:横幅60mm ✕ 縦幅297mm ◉ 必要な道具□写真やイラスト、言葉などの本に綴じる素材□カッター&カッターマット( or はさみ)、30cm定規□ 木工用ボンド、小筆(刷毛)
1. 素材を用意し、
印刷用の原稿をつくる
まずは本に綴じたい素材を集めます。Illustratorなどを使用してPCでレイアウトをつくることができる場合は、レイアウト見本を下敷きに印刷原稿を作成すると綺麗に印刷することができます。下の「方法その1」のようにコピーして原稿をつくる場合は、レイアウト見本を印刷し、同じサイズで原稿をつくります。
冊子1(写真が連なる『掌』- tenohira -)ではA4を縦長したものを5枚使い、冊子2(言葉を綴った『記憶』-kioku-)ではA4を横長にしたものを2枚使っています。
point 〜 A4 1枚に15ページ:A4の紙1枚を使って3✕5=15ページ分をつくります。少しややこしいですが冊子1レイアウト見本、冊子2 レイアウト見本をご覧ください。
2. 本文をじゃばらに折る
和紙を縦長に置いて、山折りと谷折りを繰り返してじゃばら折りにします。レイアウト見本には、紙の両端に折り線を入れています。その線に沿って山折り(Y)と谷折り(T)を1から6まで繰り返すと、間違いなくすすめることができます。
point 〜 折りかたのばらつきに気を付ける:折り線からずれるとじゃばらがガタガタになり、本がまとまりません。できるだけ均等になるように気を付けながら折ると、きれいなじゃばらにまとまります。要らない紙で一度試してながら、折りやすい方法を探ってみましょう。
3. 縦3列に切っていく
じゃばらに折った紙を一度ひらき、今度は縦3列になるようにしっかりと折り、切り取って細長いじゃばらにします。
① 縦の切り取り線(K)1~4をしっかり折り線をつけ、T1線の1mmほど内側をカッターで切り取ります。のりしろ(N)は糊付けしてつなぐ箇所なのでそのままに。切らないように注意しましょう。
②(K)線1~4を手でちぎり、縦3列を切り取ります。
③「見返し」を切り取る
④ 冊子1の先頭(A4和紙の1枚目の最初のページ)と、最後尾(A4和紙の5枚目の最後ページ)は1枚ずつ切り取り「見返し」に使います。
⑤ 冊子2の最後尾(A4和紙の2枚目の最後ページ)も切り取り、見返しの予備にします。
4. 1列飛ばしでじゃばらを折り直す
ページ順に連なるように、1列ごとに山折りと谷折りを反対に折りなおしてひと連ねに整えます。
1列目:山折りと谷折りを反対に折りなおす。
2列目:そのまま。
3列目:山折りと谷折をり反対に折り直す(2枚目はその逆、3枚目は1枚目と同じ)
とすると、山折りと谷折りが綺麗に続きます。言葉で説明するとわかりにくいですが、上の写真のような状態にする作業です。
5. ページ順に連ねる
1ページ目から順番に並べて、ひと連ねにしてしっかりと押さえます。じゃばらの間隔にずれがあれば、1ページずつ微調整します。
point 〜 折りかたのばらつきを整える:折りかたにばらつきがあると、連ねた束の側面が凸凹します。極端に飛び出しているところや凹んでいるところを見つけたら、折り直して微調整しましょう。
6. ボンドで1列につなげる
各列の一番上にある(N)のりしろにボンドを薄くぬり、1列ごとにつなげていきます。
point 〜 ボンドの塗りかたに気を付ける:ボンドをつけすぎると、はみ出たボンドでページ同士がひっついてしまいます。なるべく薄く、そして紙の端までしっかりと塗り、素早く塗りましょう。ボンドはすぐに乾いて固定されるため、貼り位置がずれ場合はすぐに剥がしましょう。
7. 表紙用厚紙を本文にくるむ
写真にように、冊子1の表紙(横幅60mm ✕ 縦幅157mm)、冊子2の表紙(横幅60mm ✕ 縦幅140mm)をそれぞれ⑥でつなげた本文にくるみます。表紙の端と本文の下側のラインと合わせ、そのまま本の厚さに沿って折り線をつけながら一周します。
point 〜 押さえすぎず、ゆるすぎず:本文を表紙でくるむときに、ぎゅっと押さえすぎると本文が傷み、緩みすぎる本文と隙間ができてしまいます。適度に「添わせる」くらいの力加減を意識すると、表紙と本文が自然にフィットします。