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<「いいね」だけで済ませない>
オンライン学習の機能には、「いいね」「拍手」などの反応を表示する機能もありますが、マークを選択するだけとなりがちです。なぜ「いいね」と思ったのか、どういうところに「拍手」し共感や同意したのかが重要です。反応するだけで終えず、そこから深い対話へつなげることを意識しましょう。オンラインでは「対話力」がものを言うのです。
講師や指導者との対話だけではありません。むしろ学習者同士が課題解決や真理を求め対話することが大事です。また、質問する・答えるだけで終わらせず、相手の言葉やその背景にある思考を推察しながら聞き、自分の考えや気づきを伝えます。学習者の思考プロセスを推測し、そこを顕在化させるような言葉かけも有効です。こうした対話を重ねることに価値があります。
<瞬時に学生からの情報リターン/共有>
学生たちの意見や反応だけでなく、全体の傾向や意見、途中のアウトカムを瞬時に把握したい時には、ZOOMの「チャット機能」だけでなく「アンケート機能」も便利です。
途中で学生たちのアウトカム(進捗の成果物)を提出してもらい、コメントを書いて返す時には「ロイロノート」なども使えます。またワークの中で、スマホで「Googleフォーム」を使い、全体の傾向を掴むことも有効でしょう(以下、その様子)。
④映像
パワーポイントを見せたり、ホワイトボード(機能)に書き込みながら講義をするだけでなく、講師と受講生が互いの顔を見ながら話し合うことも大切です。画面に映る講師や受講生が目と目を合わせて話し、表情や口元がはっきり見えることが理想です。しかし、講師も受講生もカメラに向かって話すプロではありませんから、なかなか上手くできません。
看護師や教師など、普段から人と向き合う仕事をする人なら、目を見て心の状態を受け止め、理解度などを察することを大切にしてきたはずです。オンライン講義の時も自然に画面の中の相手を見て話しますが、実際にはカメラの位置によって、目を伏せている、自分を見ていない、目をそらして話しているように見えることもあります。
また、スマホで検索しながら講師の話を聞いたりしていることもあります。自分がカメラをとおして相手に「どう見えるのか?」と意識するなど、相手と言葉の対話だけではなく視覚的にもコミュニケーションがとれる状態であることを自己確認します。
また、背景も重要な要素です。学習者と講師が双方向のやりとりをしているとき、互いの話の内容よりも、画面に映る「背景」などが気になることはよくあります。特に自宅の場合は、生活用品など日常生活がそのまま映ってしまわないように気をつけましょう。
バーチャル背景を使用する際も、自分の好みではなく、その状況や目的に合っているかどうかを考えて選ぶといいかもしれません。
⑤音声
オンラインでストレスなく講義を進める上で、明瞭な音声の確保ほど重要なものはありません。準備で肝心なのは音環境、特にハウリング(マイクやスピーカーの使用中に不快な音が発生する現象)への対応です。また、ヘッドセットの不具合で音声の途切れや雑音がある場合は、ためらわず相手へ伝えることも必要です。
<効果的に確認するコーチングセリフ>
ワンポイント:音声状況を確認し合う「言葉」───────────────────── 「音、大丈夫?」や「聞こえていますか?」と確認するより「音が途切れていませんか?」「聞こえたら手を上げてください」「ハウリング、エコーかかって聞きにくくない?」 と具体的に声をかける方がリターンの意思疎通が叶いやすい
⑥空間
在宅での学習の場所はさまざまです、あまりにリラックスできるソファやお菓子やペットなどの日常が視野に入るリビングでは学習に集中できません。窓の外の騒音、家人の声が聞こえにくい場所を探します。その上で、オンライン学習のカメラで自分自身が最適に(逆光などにならない)映るよう空間、環境を整えます。図Aを見ながら以下の項目をチェックしてみましょう。
<講師サイド>
□ パソコンの位置、高さ
□ 照明や窓の位置が逆光にならないよ
うにする(時間帯で変わるので注意)
□ いつでも収録可能な「スタジオ」的
な空間を決めておくと便利
□ 騒音や照明などに注意しながら。定
位置にカメラを置いて撮影
<学習者サイド>
□ 照明(逆光等で自分の顔は暗くないか)
□ カメラの高さを調整。視線が「相手
の目の位置」になるようにする
□ 騒音をなくす(周囲の話し声、ペット
の鳴き声など)
□「両手が使える」ようにする(画面越
しに対話しつつ筆記などができるよう
にする)
□ デバイスを最適な位置、距離、高さ
である状態で「固定」する
⑦画面/映り方
パワーポイントしか見えない画面が続くと学習者は飽きてしまいます。話し手である講師の顔やふるまいは学習者の意欲を高めるためにも重要です。学生が目の前にいると意識し、身振り手振りや表情を躍動的にしてカメラに映ることを意識しましょう。普段は無意識にしているアイコンタクトをより意図的に取り入れます。オンラインに少し慣れたら、カメラに向かって語りかけるように話すようにしましょう。
自分を客観的に見る
医療や教育など対面を要される仕事であれば特に、自分の表情や両手のしぐさなどがしっかりと相手の画面に映っていることは相手への礼儀、あるいは思いやりとも言えます。ここを意識し自らの姿、表情、声質、言葉遣いなどを客観的に見てみます。
図 A
「高度コミュニケーション力」を身につける
表情や身振りは最も直接的に情報を伝える手段といえます。画面越しのオンライン授業では、対面よりもやや大袈裟と思えるくらいの表情や身振りを心がけましょう。マスクをつけていれば、顔の半分以上は隠れてしまいますのでなおのことです。
オンライン授業を成功させる秘けつは、正確な意思疎通と心が伝わるコミュニケーション、人間らしい表現力です。ここでは声、話し方、表情、ジェスチャーの4要素を意識した「高度コミュニケーションスキルチェックリスト」が役立ちます。
[資料ダウンロード]
●高度コミュニケーションチェックリスト http://suzuki-toshie.net/mm-images/mm-z11.jpg
●オンライン授業ー事前準備シート http://suzuki-toshie.net/mm-images/mm-z10.pdf
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オンライン学習という「新しい皮袋」に「古いぶどう酒」(従来のままの教育)を入れては意味がありません。オンライン学習の導入を機に、AI時代にふさわしい新しい教育をスタートさせましょう!
次回(連載第3回)は、創造的な「教育マネジメント」について、筆者の実践事例とプログラムを紹介しながら解説します。
連載のはじめに
著者の本
キャリアストーリーをポートフォリオで実現する
鈴木敏恵 著(日本看護協会出版会・2014年発行)
入れっぱなしポートフォリオに
なっていませんか?
ポートフォリオの目的は「保存」ではなく「活用」。自分の成長のために徹底活用するためには、ポートフォリオの機能をおさえて、リフレクションとリフレーミングによるセルフコーチングをつかいこなすこと。就職、転職、異動、復職のさまざまシーンでポートフォリオを活用して、自分だけのキャリアストーリーを実現しよう。